2012年4月30日月曜日

第305話 みちのくながれ旅 (その1)

日曜日の早朝、気心の知れた仲間4人でみちのくへ。
ハーピスト・石﨑千枝子サンによる演奏旅行のお供である。
J.C.の役割はコンサートのMC。
ひょんなきっかけで数年前から手伝うようになった。

上野発の新幹線を降りたのは栗駒高原駅。
迎えに出てくれたR子チャンのクルマで到着したのが登米市。
彼女の実家が経営するレストラン「麺や文左」にて
ランチショーとディナーショーが開催される手はずとなっていた。
流れは
ランチ→コンサート→休憩→コンサート→ディナー
てな感じ。

新幹線組のもう一人はカメラマン役のHしクン。
ハーピストの旦那のKチャンはハープの運搬役で
朝早く都内を出発し、コンサートが終わったら即トンボ帰り。
まったくもってご苦労なこった。
ハーピストと所帯なんか持つもんじゃあないネ。

お客さんの食事は昼夜ともに季節感満載の和食コース。
われわれスタッフの昼食は花つるりんと山菜天ぷらの盛合わせ。
花つるりんというのは手打ち風の細うどんで
秋田の稲庭うどんに似ている。
あえて太さにバラツキを持たせた製麺が功を奏して旨い。
これを文字通り、つるりんとやったわけだ。

夜の部も無事終了して
夕食はスタッフもお客さんと同じコース料理。
ダイジェストで献立を紹介しましょう。

前菜
 ふきのとう味噌和え・うるい明太子添え・蕨しのだ巻き・
 独活(うど)と白魚の南蛮漬・たらの芽香煎揚げ
お造り
 真鯛の山葵ジェノベーゼ風・鮪の黒胡椒風味
焚合わせ
 海老入り桜道明寺・蛸やわらか煮
強肴
 みちのく鶏香草焼きラタトゥイユ添え
食事
 油麩丼
水菓子
 杏仁豆腐梅風味

焚合わせの出汁がよく引けている。
特別に作ってもらった登米名物の油麩丼がユニーク。

食事もたっぷりいただいたが酒もさんざん飲みやした。
スーパードライの生に始まり、澤乃泉大吟醸へ。
そしてR子秘蔵の
ジュヴレ・シャンベルタン 1er Cru 1999  ドメーヌ・ドニ・モルテ。
赤・白の順序が逆になったけれど、
お次はムルソー・ジュヌヴリエール 1979 ルロワ。
ところがこいつが珍しくもブショネときた。
気を取り直し、Hしクンが鹿児島で仕入れた黒島美人を。

このあたりでハーピストとカメラマンは睡魔に襲われ、
座敷に敷かれた布団の中へと消えてゆく。
残った二人が最後に飲ったのはズブロッカ。
ヨーロッパ野牛のエサとなるバイソングラス風味のウォッカだ。
バイソングラスの香りは桜の葉っぱにそっくり。
目を閉じて味わえば桜餅を頬張っているかのようである。
こりゃ、翌朝は二日酔いに確定の赤ランプだろうよ。

「麺や文左」
 宮城県登米市南方町雷35
 0220-29-7227