2014年10月3日金曜日

第939話 東大前の食レベル (その3)

東京大学正門前の日本そば屋「まるそ」はほぼ満席だが
店内をザックリ見渡して気がついたことがあった。
年配客の姿がないのはこれいかに?

もう一度、今度は念入りにチェック。
すると、われわれ以外にオジさん・オバさんはゼロだ。
いわゆるそば通風や、そば屋飲み愛好者がまったくいない。
これじゃダメじゃん・・・と思ったものの、
目の前が大学のキャンパスではそれも当然、
というか、必然であろうヨ。

隣りの卓は女性二人連れ。
彼女たちの皿がチラリと目に入る。
とにかくテーブルとテーブルの間隔が狭いから
のぞくつもりなんてなくても目の中に飛び込んできてしまう。
何やらチマチマっとした前菜の盛合わせのようだ。

相方は萩市に帰る前にもう1件、
所用があるため、飲酒を控えるという。
こちらもその品行に倣う。
故・池波正太郎翁の
―そば屋に入って飲まぬくらいなら、そば屋には入らぬ―
あえてこの名言を封印する。

手にとった品書きに酢そばというのがあった。
相方のK恵がさっそく疑問をぶつけてくる。
長い人生の中、おそらく日本そば屋で初めて見る一品であろう。
接客の女性に問い質してもあまり要領を得ない。
百聞は”一食”に如かず、まずは一人前をお願いすることにした。
もう一つはオーソドックスにもりである。

品書きにセットというのがあった。
何を注文してもセットにすることができ、
前菜・そば飯・飲みものが付く。
追加がいくらか忘れてしまったが
もりセットが750円、酢そばセットは1200円也。

15分は待たされたか・・・前菜が運ばれた。
先刻、隣りの女性たちが食していたものだ。
あらためて目の前の皿を見た瞬間、
わが心は失意のズンドコ、もとい、どんぞこに堕ちていった。

 ♪  まっさかさまに 堕ちて desire
   炎のように 燃えて desire   ♪

いけネ、どうしても明菜の「DESIRE」がついて回るな。

とにもかくにもガッカリ。
まずはご覧くだされ!
キノコと根菜と玉子焼きの盛合わせ
コレをご覧になって
読者諸兄はどう思われたでありましょうか?

=つづく=