2014年10月7日火曜日

第941話 東大前の食レベル (その5)

東京大学・中央食堂で赤門ラーメンのつもりが
東大前の日本そば店、「まるそ」に旧友と二人。
早くも後悔のほぞを咬んでいる。

そばに利点がまったくない。
つゆはつゆで一般家庭で使われる出来合い風。
日本そば屋ならではのコク味と奥行きが感じられない。
結局は薬局、そばもつゆも立ち食いそば屋レベルだ.。

さて、好奇心を刺激された酢そばである。
こんな出で立ちで登場した。
ちょいとばかりオサレ 
具材は油揚げ・みょうが・きゅうり・
かまぼこ・貝割れ・おろし・大葉・白胡麻といった面々。
発想はおそらく仙台発祥の冷やし中華にヒントを得たのだろう。
少なくとも朝鮮半島の冷麺ではなさそうだ。

前菜は見てガッカリだったが酢そばは食べてガックシ。
遠来の友にすまない気持ちでいっぱいだ。
次回、といっても、いつになるか判らんけれど、
名誉挽回につとめるから此度は許せ、友よ!

そして、トドメはセットの付属品、そばめしであった。
コレを供する意図がつかめぬ
そばめしといやァ、確か十数年前のリトルヒット商品。
一時期、ブームを引き起こしたこともあった。
焼きそばを細かく刻んで焼きめしと混ぜ合わせたようなヤツ。

カップヌードルの日清(今や錦織クンのだネ)だか、
魚肉ソーセージのニッスイだか、
すでに忘却の彼方ながら
冷凍食品を一度食したことがある。

いったいどこがどう旨いのか皆目、見当がつかず、
こんなキワモノが世にはびこるようじゃ世も末だぜ!
というのが率直な実感だった。
それをケロリと忘れて注文してしまったこちらが悪い

そばにしたって、めしだって、
互いにゴチャ混ぜにされて人間のノドを通ることなど、
まったく想定外に相違ない。
実に迷惑なハナシだ。

そんなそばめしがあろうことか、日本そば屋に生存していた。
ファミレスあたりならまだしも、そばを商う専門店でそばめしとはネ。
日本の伝統料理の継承を担う、
矜持もへったくれもあったものではない。

日本が誇る最高学府周辺の食レベルは
さように高いものではない。
いいモン食ってねェなァ! なのである。

=おしまい=

「まるそ」
 東京都文京区本郷6-17-8
 03-6801-8233