2014年10月10日金曜日

第944話 秋の日の厨房 (その3)

乗りかかった舟、あるいは毒食わば皿まで。
とにかくこの日は昼も夜もホーム・クッキングと心に決めた。
午後も自宅にこもり、
資料の整理やらメールのやりとりやらに追われ、
気がつけば灯ともし頃となっていた。

缶ビールをプシュンと開けて晩めしの献立に思いをめぐらせる。
残っている豚バラ肉をメインに据えるのが妥当な線だろう。
バラ肉は薄切りにつき、第一感はしゃぶしゃぶ。
そうだ! それでいこう。

たらちりやしゃぶしゃぶ、
いわゆるちり酢(ポン酢)でいただく鍋ものには
刻みねぎと大根おろしが不可欠。
野菜庫をのぞいてみたら両方ともバッチリだ。

足りないものといえば豆腐で、これは調達せねば―。
あとは副菜に何を持ってこようか?
冷蔵庫で栽培(?)している生わさびを活用するために
何か刺身を一品かな?
豆腐は必須だから、どっちみち出掛けなけりゃならん。
近所のプチ・スーパーへ向かった。

木綿豆腐を一丁購入する。
このとき目にしたのが鳥のもも肉だ。
ひらめいたのは豚のしゃぶしゃぶから鳥の水炊きへの二段活用。
もともとあきっぽい性格だから
ずうっと豚しゃぶで通すのは出来ない相談だったかも・・・。
でもって、鳥もも肉のブツ切りも買い求めた。

刺身のほうは、これゾというのが見つからない。
代用としてかまぼこにした。
本わささえあれば、安価なかまぼこも見違えるように美味となる。
ついでに静岡産(おそらく用宗)の釜揚げしらすもバスケットの中へ。
しゃぶしゃぶのために大根をおろすのだから
それを利用してしらすおろしを一品加えるのだ。
あとは箸休めに味の濃いものを何か・・・。
うん、昆布の佃煮が冷蔵庫にあったな。

そうしてこうして決めた夕食の献立は下記の通り。

 板わさ しらすおろし しいたけ昆布 
 豚バラ肉しゃぶしゃぶ 鳥もも肉水炊き

いや、このラインナップも実によかった。
ほぼ7割の確率で外食よりも内食のほうが美味なのだから
J.C.はかなりの料理上手なのだろうヨ・・・と自画自賛。

鍋を洗っていて気がついた。
昼に炊いた飯が炊飯器に保温されている。
このとき、料理上手(?)は少しもあわてず、
まず、ガーリックバターライスを作成。
水炊き用に買った鳥もも肉の残りはスパイスで和える。
クミン・クローヴ・カルダモン・カイエンペッパー・ガラムマサラを使用。

それをグリルして先ほどのガーリックライスと盛合わせ、
その夜の締めとしたのであった。
う~ん、旨しッ! たまりませなんだ。

=おしまい=