2014年10月14日火曜日

第946話 観音に 裏があるなら 下もある (その2)

神奈川県は横浜の先にある弘明寺に出掛けることになった。
横浜市営地下鉄も通っているが
昔ながらの京浜急行だと
横浜から6つ目で、上大岡の一つ手前になる。

さて、昼めしの身の置きどころであった。
惹かれるのは昭和の匂いプンプンの中華屋2軒。
この日は相方・P子ともども終日フリーで
昼めしとは名ばかりの、
実質は昼飲みになること必至の情勢だ。

よって「天華」と「廣州亭」の両方やっつけることにした。
ガッツリ食べるとなったら、昼に2軒は相当キツい。
若い相棒はともかく、老頭児(ロートル)にはムリ。
それがそれぞれの店で一品料理と麺類を一つづつ取り、
ビールを楽しむぶんには2軒など楽勝だ。
うん、このラインでまいろう。

P子にその旨伝達すると、
わが意を得たり! とニッコリ笑顔の絵文字が返ってきた。
フフッ、この呑みスケめがっ!

京急・弘明寺駅で待ち合わせたのは金曜日の正午前。
陽は高々と昇っちゃいるが、吹く風涼やかにして快適な秋の日だ。
当然、観音さまへのお参りは中華のあとにした。
あくまでも飲み食い優先である。

急でもないが、なだらかでもない坂を下って「天華」の店頭へ。
ありゃりゃ、暖簾が出てないゾ。
店内に人の気配なく、”本日休業”の札も出てない。
第一、金曜定休の店はきわめてまれだろう。
これはあきらめるしか手立てナシ。

気を取り直してアーケードを進む。
洋食の「マコト」は営業中だ。
テイクアウト・コーナーには
カツサンドとハンバーグサンドが1箱づつ置かれ、
用命のある客はベルを鳴らすシステム。
横着といえば横着なハナシではある。

ハナから買うつもりはないから
ベルは鳴らさずにサンドの箱の中身だけチェックする。
あまり美味しそうには見えなかったなァ。

なおも商店街を往く。
ピザ風サンド、ディジェッラの店が見当たらない。
おそらく店仕舞いしたのだろう。
ピザ風サンドなんて、とても当世の売れスジとは思えんもの。

そうして到着した「廣州亭」。
おや? 入口のドアに何やら貼り紙が貼ってある。

=つづく=