2014年10月15日水曜日

第947話 観音に 裏があるなら 下もある (その3)

原因不明の「天華」の休業で出鼻をくじかれはしたが
そこは粘り腰の二枚腰、「廣州亭」に移動した。
すると、ドアに1枚の貼り紙であった。

 ♪ 誰もが物語 その1ページには
   胸はずませて 入ってゆく
   ぼくの部屋のドアに 書かれていたはずさ
   ”とてもかなしい物語”だと

   窓の外は雨 あの日と同じ
   肩を濡らした君が 
   窓の向こうに 立っていたのは  ♪

イルカが歌った「雨の物語」は1977年のリリース。
イルカといえば、
日本音楽史にその名を残す「なごり雪」がイの一番だろうが
J.C.は同じ伊勢正三の手になる「雨の物語」が一番好き。

マイ・フェイバリットにつき、出だし一番の歌詞も披露しちゃおう。

 ♪ 化粧する君の その背中がとても
   小さく見えて しかたないから
   僕はまだ君を 愛しているんだろう
   そんなことふと 思いながら
  
   窓の外は雨 雨が降ってる
   物語の終わりに 
   こんな雨の日 似合いすぎてる  ♪

毎度のごとく、ハナシは脇道にそれるが
もう20年も以前、往時の恋人がよくこの歌を口ずさんでいた。
いつものように何気なしに聴き流していたある日、
ふと思いついた。
ヒロインは何だって別れ間際に化粧なんかしてるんだい?
そしてオトコは何でまたその様子を観察してるんだい?

疑問を素直に歌い手に質すと、
彼女、あきれ顔でこちらを見つめ、さげすむように言ったネ。
「そんなことも判らないの?」―こりゃ明らかにこころの中で
(デリカシーのないやっちゃナ!)―こう思っているに違いない。

恋人曰く、彼女は水商売でこれから出勤なんだと。
生活力のないオトコを支えていたけど、
とうとう嫌気が差して別れを決心したんだと。

へェーッ! 何でこの短い歌詞からそんなことまで判っちゃうワケ?
以来、演歌だろうが、Jポップだろうが、
歌の歌詞には神経を配るようになりましたとサ。

弘明寺に戻る。
「廣州亭」のドアの貼り紙にはこうあった。

と、ここまできて紙面尽きました。
ハナシがちっとも前に進まず、ごめんなさい。
以下、次話!

=つづく=