2015年7月3日金曜日

第1134話 偶然の澄ましバター (その4)

作詞家・横井弘の手掛けた歌謡曲を聴きながら
自宅の厨房に立っている。
彼が多くの詞を提供した三橋美智也のCDが見当たらない。
確か、1枚あったハズだがなァ・・・。

ガムテープで封印された段ボールを
押入れの奥から引きずり出して開いた。
中には何年も聴いていないカセットテープがビッシリ詰まっている。
幸いにもすぐに三橋のアルバムを見つけることができた。
最初にかけたのは

 ♪   わらにまみれてヨー  育てた栗毛
   今日は買われてヨー  町へ行く
    オーラ オーラ 達者でな   ♪

大切に育てた愛馬との別れを綴った「達者でナ」。
ユニークな詞であり、曲である。

おっと、マカロニサラダだ。
湯を沸かし直したかいあって大変美味しく出来上がった。
ハムがなくともノー・プロブレム。
ちょいと多めの新玉ねぎに
下ごしらえの塩もみをキチンと施したきゅうりが功を奏している。
仕上げに少しばかり散らしたフレッシュ・ミントもよいアクセントになった。
旨いぞなもし、たまらんぞなもし。

さて、さて、ブール・クラリフィネの匂いで
頭の中は40年前に飛んだのだった。
正しくは1974年夏、そのときJ.C.はロンドンにいた。
同じバターの匂いを嗅いだのは
ちょうど現在のようにテニスの全英、
ウィンブルドンが開催されている間のことだった。

市内を走るチューブ(地下鉄)、ディストリクト・ラインの終点、
ウィンブルドン駅の2つ手前だったかな?
パーソンズ・グリーンという町に棲んでいた。

当時のGFはパリ近郊、サヴィニー出身のMichelle。
父親はイタリア系だが母親はフランス人、
彼女の国籍もフランスだった。
ただし、苗字は父方のGottiだったと記憶している。

ロンドン市内の南西部にグロスター・ロードという地下鉄駅がある。
近くにウエスト・ロンドン・エア・ターミナルが控えているため、
比較的乗降客の多い駅だった。
東京ならさしずめT‐CAT(箱崎)だネ。

若かりしJ.C.はその駅前のハンバーガー・レストランで
ウエイターの職についていたのサ。
Michelleは店の常連とまではいかないが
ときどき顔を見せる留学生だった。

ある夕べ・・・。
と、ここまで綴って、以下は次話。

=つづく=