2015年7月30日木曜日

第1153話 中・高時代は大ご馳走 (その4)

とげぬき地蔵通りの「タカセ」は期待ほどじゃなかった。
しばらく再訪はないと判断しながら、ふと思いついた。
そうだ、ネクストタイムは1Fでパンを購入し、
2Fのサロンでいただいてみようか・・・。
サンドイッチなんぞも試したいしネ。

その日から数えてちょうど1週間後。
再び同店にJ.C.オカザワの姿を見ることができた。
ん? べつに見たくもないってか?
フン、ほっとけや。

とにかくまた行っちゃったんだもんネ。
1Fのベーカリーで調達したのは
白身魚のフライバーガー(200円)と
ハム&野菜サンド(190円)であった。

レジで支払いの際に
「お飲ものは?」―こう訊かれる。
これは必ず注文しなければならない。
パンだけ買って2Fのティーサロンに上がり、
据え付けのお冷やでサクッと済ませることは認可されない。
もちろん好みの飲みものの持ち込みも許されないだろう。

身体が欲する生ビールがないから、アイスティーのストレートをお願い。
でもいつか、そう、8月になったら生はムリでも缶をふところに忍ばせて
「タカセ」のパンとともに味わってやろう。
そんなたくらみを抱いている。

アイスティーはいくらだったっけな? 
おそらく250円じゃなかったかと記憶する。
同じ道筋の」マック巣鴨店」ではアールグレイ葉使用の美味しいヤツが
100円ポッキリで飲めるからずいぶん割高な印象を受けるが
店内の雰囲気から判断して適正価格にも思える。

2Fのサロンは3Fのレストラン同様に広々としていた。
デパートの食堂をコンパクトにした感じだ。
客層は8割、いや、9割が女性で3Fよりも平均年齢がやや高め。
生活を年金に頼っている層には
3Fでぜいたくするより2Fでつましく、ということであろうヨ。

それにしても押し寄せる女性の波はとどまるところを知らない。
”単独波”はほとんど見当たらず、2~5人の”複数波”ばかりだ。
ひるがえって男のほうはわが身を含め、みな単身者のみ。
まさしく「孤独のグルメ」であった。
人数は数えるほどで
その視線は互いの存在を相憐れむかのように弱々しい。
実に嘆くべし。

冷たいティーとともに食したサンドイッチはまずまず。
ところが白身バーガーはイケなかった。
輸入モノの深海魚だろうが白身とは呼びがたいクセがある。
接客係を厨房に走らせて
正体を明かすつもりもなく、その半分を食べ残した。

いつの間にか女性たちの会話がボリューム・アップしている。
ホントにうるせェんだわ、これが!
それも噂バナシや、人の陰口・告げ口の大洪水。
深海魚に目をつぶることはできても
オバタリアンの騒音に耳をふさぐことはできない。
老兵は死なず、ただ消え去るのみでした。

=おしまい=

「タカセ巣鴨店」
 東京都豊島区巣鴨3-20-16
 03-5980-7557