2015年7月27日月曜日

第1150話 中・高時代は大ご馳走 (その1)

都内有数のメガステーション・池袋の東口、西武百貨店の正面角地に
「タカセ」という名のベーカリー兼洋食店がある。

中・高生の頃、板橋区に棲息していたJ.C.
ささやかに遊興した地はもっぱら池袋。
東口も西口もじぶんちの庭みたいなものだった。

たまさか母親の買い物につき合うときも赴くのは池袋。
その際の食事処は今は無き、
キンカ堂なる大型衣料品店の地下食堂だった。
これが何か特別な日、いわゆるハレの日になると、
「タカセ」にグレード・アップするのだ。
食べ盛りの男子に「タカセ」の洋食は
実に魅力的で偉大なるご馳走だった。

たとえダイニング・フロアに上がらなくとも
1階ベーカリーのパンを購入するだけでワクワク感があったなァ。
自宅近くのパン屋のそれとは一味も二味も違うことは
ローティーンの少年でさえ、はっきりと識別できた。

そう、そう、パン屋といえば、母校の中学の最寄り駅、
東武東上線・常盤台駅には線路を挟んで両側に
「マルコ」という店名のパン屋があった。
どちらが本店でどちらが支店か、区別はつかなかったが
とにかくここのパンはまっことグンバツ。
何を食べても美味しく、毎日の昼めしにしたいくらいだった。
もっとも中学生には高嶺の花もいいところ、
簡単に口にすることはかなわなかった。

その「マルコ」がある日、忽然と消えた。
何十年ぶりかで訪れたとき、
2軒あった店舗が跡かたもなく消滅しており、
懐古趣味的精神旺盛なJ.C.は跡地に茫然と立ちつくしたのであった。

東上線沿線の田園調布と言えなくもない、
常盤台のランドマークがなぜに店仕舞いしてしまったのか?
さっそく聞き取り調査に及ぶと、
中学の同期生が言うことには
何でもバブルの前後に投機で失敗したとのこと。
食べ物商売が株や不動産にのめり込んで成功したためしはまずない。
地道なモノ造りの手間を省いて、利に奔(はし)るとロクなことはない。
あの畑は実に危険がいっぱいなのだ。

「マルコ」のハナシはさておき、「タカセ」であった。
都内でお婆ちゃんの原宿といえば、巣鴨のとげぬき地蔵通り。
そこで「タカセ」の支店に遭遇し、入店したのはひと月ほど前だった。

ハンバーグやオムライスなど、
洋食の定番を差し置いて日替わりランチが人気のようで
ソイツがなんと750円のお値打ち価格なのだ。
メニューボードをチェックすると、
その日の献立はメカジキのフライ&チキンソテーの盛合せ。
メカジキにはタルタルソース、
チキンには玉ねぎソースとあったのでした。

=つづく=