2015年9月28日月曜日

第1195話 K嬢の里帰り (その1)

またもやNYK時代の思い出話がらみにて
失礼サンにござんす。

彼の地に暮らした10年余り、
自分で言うのもなんだが、平日は実によく働いた。
ランチタイムは顧客とのパワーランチを除けば、
常にディーリング・ボードに張りついていたから
夜の帳(とばり)が落ちると、よく食べ、よく飲み歩いた。
もっとも8割方はパワーディナーだけどネ。

その合間を縫って週に1~2度は
雀卓をわが止まり木としたのであった。
これはあくまでもウイークデイのハナシで
ウイークエンド、殊に土曜は
午前中がゴルフ、午後は同じ面子で雀荘に直行だった。

行動をともにした3人は主として
グランドセントラル駅そばにあった和食店「C」の親方、T木サン。
イーストヴィレッジの居酒屋オーナー、T山サン。
そして米系証券のディーラー、Y留クンである。

  ♪  土曜日は土曜日は いちばん
   あの人と遊びにも 行けるわ
      今夜だけ二人とも 大人で
    灯にさそわれて  踊るの
    帰りの時間も 気にしないで
    踊ろう踊ろう  明日は日曜
    あの人に少しだけ お酒を
    飲まされて 幸せな土曜日 ♪
       (作詞:岩谷時子)

ピンキーとキラーズが歌った「土曜日は一番」のように
本来は恋人と過ごすべき土曜日。
かなりの年齢差があるオトコばかりが4人揃って
一体全体、何してんだか。

でも、今思うと1960年代は土曜日が一番だったんだねェ。
それがいつの間にか”華金”に移り、
挙句は”華木”だもん。
いや、実に隔世の感あり、とはこのことである。

J.C.が帰国してからあまり時を経ずして
Y留クンは早逝してしまった。
しまったが、彼の部下にT川クンという往時の青年、
今はオヤジの仲間入りがいて、ときどき卓を囲んでいる。

そのT川からメールが舞い込んだのはひと月余り前。
彼のの同僚だったK嬢が一時帰国して来るので
ついてはJ.C.と旧交を温めたいというのがその趣旨。
K嬢はK美クンといい、何度か飲みに行ったことがあった。
もう18年も以前のハナシだけどネ。

ここのところ、旧交を温めてばかりだが、
いいでしょう、いいでしょう、
楽しい一夜を過ごしましょう、ということに相成った。

=つづく=