2016年4月6日水曜日

第1332話 どっこい生きてた レーズンバター (その3)

京成本線・堀切菖蒲園駅から徒歩3分の距離にある「きよし」。
6年前まではガード下で独特の雰囲気をを醸し出していたが
移転後の店舗はごくフツーの酒場となった。

照明のせいだろうか、店内は何となく暗め。
卓上に品書きがない代わり、壁にぐるりと貼りめぐらされている。
つまみはやたらめったら280円モノが多い。
ところてん、しらすおろし、みそおでん、あじひらき、
ハムかつ、若鷄から揚げ、椎茸天、あさり酒蒸し、
これらすべて280円だ。

ほかにはブリ、カツオの刺身がそれぞれ300円。
豆腐・茄子・春雨の”麻婆三兄弟”は一律380円である。
人気メニューの馬刺しとめごち天もまた380円。

あれは今世紀初め、2001年か02年だったと思うが
このめごち天を食べた記憶がうっすらとよみがえってきた。
小ぶりのめごちが10匹ほども皿に盛られていたハズだ。
そのときはたまたま二人飲みで助かったものの、
単身だったらまず余すこと必至。
でも、懐かしいなァ。

懐旧の情につまずきそうになりながらもこらえた。
いつまた再訪できるか不明ながら、次回はぜひ二人で来よう。
同姓の友人、異性の恋人、
どっちでも構いやしない、1人5尾づつ食べるんだ。

壁を見上げていて目が一点に貼りついた。
そう、サブタイトルにあるレーズンバターを発見の巻。
語句に死語があるように
食べものにもデッド・フードがあってしかるべき。
その意味でレーズンバターはとっくに死んどるやろ。

とにかく今世紀に入ってから見たことも聞いたこともない。
連想ゲームだったら

 レーズンバター → 場末のスナック

J.C.の場合これっきゃない!
ベツに好きでもないし、食べたくもないけど、
ここで会ったが100年目、
見過ごしたら一生逢えなそうな、そんな気がして衝動注文。
J.C.オカザワ、相変わらずアホやねん。
これもまた280円也
もはやおつまみ界のシーラカンスと言っても過言ではない。

ここでビールからハイボールに移行する。
ハイボールといってもウイスキーのソレではなく、焼酎のソレ。
東京でも墨田・葛飾・江戸川区あたりでは
単にボールと呼ぶ店が多い。
これが1杯250円と城東の平均価格であった。

=つづく=