2016年4月20日水曜日

第1342話 池袋の昼 (その1)

 ♪   あなたに逢えぬ  悲しさに
   涙もかれて しまうほど
   泣いて悩んで 死にたくなるの
   せめないわ せめないわ
   どうせ気まぐれ 東京の
   夜の池袋 

   他人のままで 別れたら
   よかったものを もうおそい
   美久仁小路の 灯りのように
   待ちますわ 待ちますわ
   さよならなんて いわれない
   夜の池袋

   にげてしまった 幸福は
   しょせん女の 身につかぬ
   お酒で忘れる 人生横丁
   いつまでも いつまでも
   どうせ気まぐれ 東京の
   夜の池袋         ♪
        
     (作詞:吉川静夫)

青江三奈、最大のヒット曲「池袋の夜」が池袋のみならず、
日本全国に響き渡ったのは1969年。
当時、受験勉強中のJ.C.の耳にもガンガン飛び込んでおりました。

小学校6年から大学2年まで東武東上線沿線に住んでいたため、
遊び場は何処を差し置いても、もっぱら池袋だった。
殊に1969年は

 ♪ あゝ あゝ あゝ 高校三年生 ♪

でありまして、運よく部活にも予備校にも無縁の身。
下校後は巣鴨に棲む当時のGFと
板橋・豊島の区境にある高校から
池袋までよく歩いたものだった。
思春期のランデヴーですな。

若い頃に芽生えた愛着は月日を経ても
おいそれとは失われないもの。
池袋は特別な街なのである。

都内で人が集まる三大タウンといえば新宿・池袋・渋谷。
人混みを極力避けたいわが身としては近づきたくないエリアだ。
これといった用事のない新宿には最近トンとご無沙汰。
何となくラッキーな心持ちである。

もっとも新宿三丁目の先の御苑前、
そのまた先の四谷三丁目、
いわゆる荒木町へはときどき出向く。
いや、御苑界隈はともかくも
荒木町は二週に一度は訪れる。
十数年前に馴染んだ町に復刻の匂いを嗅いでいるのだ。

=つづく=