2016年4月22日金曜日

第1344話 池袋の昼 (その3)

池袋東口の「福しん」にいる。
どちらもめったに利用することはないが
ラーメンに関しては「日高屋」よりも「福しん」のほうが好き。
前者は煮干しというか魚粉というか、
とにかくサカナ臭さがイヤだから
もっぱらタンメンに逃げることになる。
ただし、ビールの合いの手にはボリューム過多が難だ。

この値段でよくぞここまで!
称賛に値するラーメンをツルツルッと食べ終えた。
とにかく遅ればせながら昼食を取ったし、
お次は早めの晩酌にしちまおうか・・・
乗り掛かった舟ならぬ、飲み掛かった酒だしねェ。

都内屈指の繁華街、池袋といえども
15時過ぎに開いてる酒場はそう多くない。
前述のビヤホールのほかは酒屋の角打ちあたりに限られる。
ところが一軒、昼過ぎどころか早朝から飲める酒場があった。

その名も「ふくろ」、そう、池袋の「ふくろ」である。
本店は西口の東京芸術劇場そば。
乗降客でごった返す駅構内を避け、
駅手前のガードをくぐって西口へ抜けた。

途中、一軒のひなびた天丼屋の前を通過すると、
店内から一組のカップルが出てきた。
開いた引き戸の隙間から中をのぞけば、
ほぼ満席の盛況ぶりである。

店先に貼り出された写真メニューをチェックしたら
好物の穴子天丼が800円だと!
食指が動いたものの、ラーメンのあとでは到底ムリ。
近いうちに食べにこよう。

そうしてやってきた「ふくろ本店」。
本店があれば当然、支店がある。
支店は東口で、所在地が何と、
「池袋の夜」の歌詞に出て来る美久仁小路なのだ。
こちらは歌の題名に忠実、夜だけの営業となる。

本店の1階カウンターは珍しく空いていた。
いつもなら瓶ビールでスタートするが
気分をちょいと転換してホッピーを所望した。
客の大半がコレを飲んでいる。

ホッピーのボトルは1合瓶に入った焼酎とともに供される。
このスタイルならば、自分のその日の酒量が把握できてよい。
ダラダラお替わりしてると、
どれだけ飲んだか判らなくなるからネ。
いつものように中身不明の突き出しが出てきた。
枝豆の周りをドロリとした何かが覆っている。
以前、一箸つけてあまりのお粗末さに言葉を失った。
庶民の味方「ふくろ」の弱点はこの突き出しに尽きるのだ。

=つづく=

「福しん 区役所前店」
 東京都豊島区東池袋1-35-1
 03-3987-1504