2016年4月25日月曜日

第1345話 池袋の昼 (その4)

池袋西口の「ふくろ本店」。
あまりにヒドい突き出しは無視する。
「福しん」で手もみラーメンを食べてきたから
つまみなんかほしくないが、そうもいかない。
べつに注文せずとも文句は言われないけどネ。

少々、肌寒い日だったせいか、
周りを見回すとオジさん&ジイさん連中はほぼ例外なく、
湯豆腐の小鍋をつついている。
鍋はいいよネ。
殊に単身来店の「孤独のグルメ」にはピッタリだ。
身体のみならず、心まで温めてくれるからねェ。

すでにお腹がくちくなったJ.C.
なるべくカサの張らないものを選ぼうとする。
壁の品書きから見い出したのはお手軽なたら子だ。
好物でもあることだし、チョイ焼きで頼んだ。

久しぶりに飲むホッピーがなめらかにノドをすべり落ちてゆく。
ホッピーには白・黒・赤の3種類がある。
数年前に発売開始された赤を置くところは少ないものの、
白と黒は多くの店が揃えている。

ところが当店には白しかない。
もっともJ.C.はホッピーでもビールでも黒より白を好む。
ビールでいう白はピルスナー系、黒はスタウト系だ。
ピルスナーはラガーと呼び代えてもいいだろう。
それはそれとして
忘れ去られたんじゃないかと思うほどにたら子の到着が遅い。

オバさんばかりのスタッフの中、
一人だけオバさん手前のオネエさん、
言わゆるオネバさんがいる。
とても感じのいい人で言葉遣い、客あしらいが丁寧。
加えて器量なかなかにして
掃き溜めに鶴(失礼!)の感すらある。

注文を通したのはこの人だったから
まず間違いはなかろう・・・なんて思ううちに
白い皿に乗せられて一腹(ひとはら)の赤いたら子が運ばれた。
一腹はワンペアである。
一切れのみの片割れは半腹という。
それがたら子の数え方だ。

”外”(ホッピー)は1本だけ、
”中”(焼酎)をお替わりして短い滞在を終えた。
はて、どこへ回るとするかの?

埼京線に乗って十条か赤羽かな?
前者なら「齊藤酒場」か「天将」。
後者だと「まるます家」か「まるよし」であろうヨ。

=つづく=