2016年4月27日水曜日

第1347話 池袋の昼 (その6)

池袋西口の「天丼ふじ」。
穴子天丼に満足の昼下がりである。
10席ほどのカウンターは席の休まるヒマがない。
次から次へと客が入れ替わり立ち替わり状態だ。

揚げ場で揚げ続けの店主にとってはシンドい仕事なれど、
かなりの儲けが出ているのではないか。
それがエネルギーの源泉となっているのだろう。
肉体疲労時にはリポビタンDやオロナミンCなんかより、
何と言ってもお金が一番。
そうでなけりゃ、こんな仕事を日々続けることなどできやしない。

勘定時、食べ終わったドンブリを
カウンターの上にリフトアップすると、
ミャンマー(?)女性がニッコリ。
「ありがとゴザイマ~ス!」―
満面の笑みに送られる。
アナゴとオナゴ、どちらもまことにけっこう。
とにかく入ってよかった「天丼ふじ」でした。

次に向かったのはまたもや「ふくろ本店」。
その日の晩酌、たまには昼酌、ごくまれに朝酌もありうるが
とにもかくにも始まりは常にビールである。
いきなり日本酒やワインということはまずない。

しかるに、ここでちょいと考えた。
いきなりホッピーというのはどうだろう?
ビールの兄弟分みたいなモンだから
引っ掛かることもなく、スッと飲めるに違いない。

よってモノは試し、ホッピーをお願いした。
氷入りのジョッキをグッとあおって・・・
ふむ、なかなかであるぞな。
でも、ビールには及ばないネ。
そんなことを思いながら
傍らの愚にもつかない突き出しは例によってパス。

10日前とは打って変わったポカポカ陽気につき、
湯豆腐を注文している客は見当たらなかった。
代わりに冷奴が人気を集めているかと思えば、
そうでもない。

あれっ、感じのいいオネバさんが居ないゾ。
裏口方面、カウンターの奥まで
彼女の姿を求めたものの、やはり不在だ。
まあ、ほかのオバちゃんたちの接客だって
悪いわけじゃないからべつに構わないけど少々ガッカリ。

正月以外は年中無休のフル稼働店、
スタッフは交代で休まなきゃネ。
まさか突然の退職ってこともなかろうヨ。
でも、ちょいとばかり心配にはなった。

=つづく=

「天丼ふじ」
 東京都豊島区西池袋1-28-6
 03-3985-0844