2016年5月17日火曜日

第1361話 あの味がよみがえる (その5)

東プリのブッフェをエンジョイしている。
ブッフェ、いわゆるバイキング。
オール・ユー・キャン・イート・スタイルの食べ放題となると、
中国に限らず、アジアの人々のマナーはまだまだ発展途上。
もちろん、われわれ日本人も含めてのハナシだ。
 
予算の限られたパーティーの料理ボードとは違い、
ホテルのブッフェで料理が消滅することはない。
足りなくなったらバカスカ再登場する。
それがキマリだもんネ。
 
ん? それじゃあ、
パーティーのときだけ急いで食えばいいのか!ってか?
オー・ノー!
パーティーにおける正しいマナーというか、
スマートな振る舞いは料理には手を出さないこと。
それに尽きるのだ。
 
ご馳走を前にしてツラい選択かもしれないが
ここは日本古来の伝統、
武士は食わねど高楊子を貫きましょう。
さすればアナタの品格に傷がつくことはない。
 
品性の”ひ”の字も持ち合わせていない、
わが都のハジ、もとい、
チジみたいになったら人間はもうおしまい。
自らおのれの命を絶つほかはないだろう。
というのは言い過ぎか・・・。
 
でもさァ、あれはどうひいき目に見たってチジじゃなくてハジでしょ?
一都民としてすみやかな辞任を望む。
辞めないって言うならクビにしましょう。
あの手の生きものを東京の空の下に放し飼いにしては
他県のいい笑いものになるだろうヨ。
この愚か者がっ!
 
さらに食べ続けた。
何だ、オマエラもけっこう爆食してるじゃん! ってか?
いいえ、これでもセーブしてるほうなんですヨ。
それにもう逢えなくなるやもしれぬ料理の写真を収めておきたい。
そのためにはボードの大皿より小皿に盛付けたほうが
見映えがずっといい。
小皿にしたってほとんど二人でシェアしてるしネ。
 
お次は切り出しのローストビーフ。
これまた懐かしのひと皿である。
グレーヴィー(肉汁ソース)をたっぷりかけてもらい、
レフォール(ホースラディッシュ)は自分で多めに添えた。
願わくば一片のクレソンが欲しい
もっともクレソンはパセリのように
食べ残されることが多いからネ。

=つづく=