2016年5月2日月曜日

第1350話 ズブロッカは桜餅の匂い (その2)

本郷菊坂下の「海燕」に”男女四人春物語”。
ザクースカの到着とともに全員がウォッカに切り替えた。
ロシアン・ウォッカの筆頭銘柄、ストリチナヤである。
ニューヨークあたりではストーリの愛称で親しまれる銘酒だ。
キンキンに冷えたヤツをショットクラスに注いで再びの乾杯。

 ♪  そして24時間 あの都会(まち)あとに
   霧にしめった列車 ひとり降りた時
   まさか待ってるなんて にくらしいひと
   思いつめてる気持ち もろくターンさせるの
   
   乾杯モンテカルロ 好きよあなたが楽園
   シルクハットを月に飛ばして 明日は明日よ
   踊ってモンテカルロ 熱いタンゴで夜通し  
   割れてしまえ 地球なんか
   恋は狂詩曲(ラプソディ)      ♪

          (作詞:ちあき哲也)

一度は自粛したものの、二度目の乾杯ときたひにゃ、
こらえきれずにやっちまっただヨ。

庄野真代の「モンテカルロで乾杯」は1978年7月のリリース。
この3ヶ月前には彼女最大のヒット曲、
「飛んでイスタンブール」が世に出ている。
Best1&2が同時期に重なったわけだ。

J.C.的にはどちらが好きかというと、ものすごく迷う。
聴き込んだのは間違いなく”イスタンブール”だが
迷った末に”モンテカルロ”かな?
ただし、実際の街はイスタンブールのほうがはるかに好き。
モンテカルロはまったくもってつまらない。
あんなとこへ嫁ぐからグレース・ケリーの人生は暗転するんだ。

ハイッ! 脱線はこのくらいにして「海燕」。
スモークサーモンや牛タンや野菜の酢漬けをつまみながら
極冷えのストーリを飲る。
旨いんだな、これがっ!

人数分のブリヌイを焼いてもらっている。
ブリヌイはそば粉入りの薄いパンケーキ。
フランスはブルターニュ地方のガレットに近い。
これをイクラとサワークリームとともに楽しむ。
もちろんイクラもたっぷりとお願いしてござる。

当日の昼の数の子、10日前のたら子、そして今宵の鮭の子。
さすがにチョウザメの子(キャヴィア)は高すぎて手が出ないが
一応、魚卵三兄弟の揃い踏みではある。

イクラだけじゃもの足りず、
ザクースカにも盛込まれていたスモークサーモンを単品で追加。
これもまたブリヌイにピッタリなのだ。
イクラとサーモン、
パンケーキの上で親子の対面する景色が美しくも微笑ましい。

=つづく=