2016年6月8日水曜日

第1377話 北区の旅人 (その7)

まっ、それほどの長距離ではないにせよ、
狸のそば屋からかなりテクテク歩いたものよのぉ・・・。
長い一日もいよいよ大詰め、赤羽に到着。
さっそく目当ての「まるます家」を目指したものの、

 ♪   たどり着いたら いつも雨降り
   そんな事のくりかえし   ♪
     (作詞:吉田拓郎)

せっかくたどり着いたのに
二人の心をくじいたのは長蛇の列だった。
「笑点」のニュー司会者、春風亭昇太じゃないが
これじゃ、だめじゃん!
それも半端な長さじゃないから並ぶ気なんぞ瞬時に失せた。

もともと旧軍都・赤羽きっての人気店ではあった。
でも、これほどとは―。
しばらく来ないあいだに人気に拍車がかかったものと思われる。
確かに赤羽随一、いや北区で一番、
いやいや東京屈指の酒場だもんなァ。
さもありなん。

行列をうらめしく眺めていても仕方がない。
ここは一番、見切り千両。
すぐそばのうなぎ屋に廻ってみたが席を得られじ。
それではと「八起本店」が脳裏をよぎったけれど、
近々、有楽町の分店にうかがう予定。
しかも本店より分店のほうになじみが深いのでパス。
何せ、通い始めて40年だもの。
わが酒場人生の重要な位置を占めている。

そうしてこうして落ち着いたのは東口駅前、
「まるよし」のカウンターであった。
ここは両サイドも狭いが背後の壁とのすき間も狭い。
他の客が通過すると必ず背中をプッシュされる。
カウンター内はというと
スタッフが自由に動けるスペースが確保されているから
設計ミスじゃないの? そんな疑念が生まれるほどなのだ。

何はともあれ、こちらは瓶ビール、
相方は梅しそ風味のバイスサワーで乾杯。
このバイスサワーは数年前から急速に普及してきた。
酎ハイ、ウーロンハイ、レモンサワーに飽きた人にオススメ。
殊に女性には打ってつけの飲みものだ。
ほんのり紅色がなかなかにチャーミングでもある。

最初のドリンクと同時に頼んでおいた、
キャベ玉の(小)が運ばれた。
単なるキャベツと玉子を炒め合わせただけの代物は
お通し代わりというか、箸休めといおうか、
まっ、そんな役割をさりげなく担う佳品である。

=つづく=