2016年6月30日木曜日

第1393話 鮎あればこそ (その2)

深川は清澄の「天竜」にて
ニューヨーク時代の仲間とリユニオン。
乾杯のあと、運ばれたのは前菜の五点盛りである。
陣容は、枝豆・うるか・稚鮎開き唐揚げ・
子持ち鮎甘露煮・アボカト川海苔和え。
毎年同じ料理ながら年に一度の賞味につき、
これはこれでよいのサ。

生ビールをお替わりする頃、刺盛りが登場。
一人前づつの個別盛りがありがたい。
もっとも横並びでカウンターを占拠しているから
大皿の盛合せというわけにはまいらない。

鮎背越し・こち・真鯛・あじたたき・
まぐろ中とろ・かつお・白いか・甘海老。
八点のラインナップが豪華なり。
おろし立ての本わさびが添えられており、
いずれもハズレがない。
うれしいなァ、楽しいねェ。
中途半端な鮨屋・割烹にはぜひ見習ってほしい。

お次はやや小ぶりの鮎塩焼き。
これは二尾付けで、もちろん蓼酢でいただく。
”蓼食う虫も好きずき”のあの蓼である。
日本酒に切り替えた。
北海道の男山をチョイス。
一尾を肴に飲み干し、すかさず福島の生もとにする。

去年までは塩焼きの鮎など、
頭も中骨もバリバリやったものだが
寄る年波には勝てまへん。
不本意ながら今年は残した。
だらしないねェ。

気を取り直し、続いた稚鮎唐揚げに箸先を伸ばす。
前菜の鮎開きとは異なり、丸揚げが5匹ほどに
刺盛りにあった背越しの名残りの中骨が1枚。
なかなかに食べ出がある。

ここで日本酒は3杯目。
此度は京都の玉の光にした。
そうこうするうちに供された締めの鮎めしは
ヨソでは味わえない優れもの。
また来年の六月もここに集結することになるのだろう。

ほほに当たる夜風が心地よい。
軽い二次会を提案したら手を挙げてくれたのは
古いつき合いのC葉チャン唯一人。
しょうもない焼き鳥屋で生ビールを飲んだのだが
彼とサシで飲むのは実に20年ぶり。
四谷・荒木町の豚しゃぶ「三櫂屋」以来だ。

入店した焼き鳥屋は最悪なれど、話題は尽きることがない。
結局は薬局、
終電を逃し、”帰宅シーの巻”に相成りましたとサ。
やれやれ。

=おしまい=

「天竜」
 東京都江東区清澄3-3-28
 03-3630-8850