2017年7月6日木曜日

第1660話 プチッと噛まれた小籠包 (その4)

たびたびの”ところが・・・”で失礼さんにござんす。
いやベツにもったいぶってるワケじゃないけれど、
目の前の光景に茫然とする自分がいた。
やってくれちゃったのは相方のO戸サンだった。

何と彼女、蓮華の上に乗せた小籠包を
前歯でプチッと噛み切りやがった。
そうして肉汁を蓮華で受けて
本体とともに口内に押し込んだのであった。

オー・マイ・ゴッド!
マンマ・ミーア!
それはないぜ、セニューラ!
そんな食い方したら意味ないじゃん。

料理人がせっかく皮の内に閉じ込めたスープを
外に出しちゃったら彼らの着想と努力を無にするも同じ。
これには温厚なJ.C.もイエロー・カードを出すしかない。
やれやれ、しょうがねぇなァ。

彼女悪びれずに曰く、
「友だちからこう教わったんだもん」―
あ~あ、友だちに恵まれねぇなァ。
(そういう輩とは交わりを絶ったほうがいいんでねぇの?)
この言葉は相手を傷つけるからグッとこらえて飲み込む。
しっかし、世の中には
トンデモないことを吹聴する輩がいるもんだ。

小籠包自体は可も不可もなく、まあそれなり。
特筆すべき点はない。
2杯目の陳10年を飲りながら
追加したのは当店の名物だという三杯鶏。
それにバタープロウンと焼きビーフンだ。

三杯鶏は鶏のもも肉と赤唐辛子とバジルの炒めもの。
特徴はこれでもかと投じられた塊りのニンニクである。
インパクトの強い料理ながら極め付きの美味でもなく、
小籠包同様にそれなりだった。

タップリのココナッツ果肉を使ったバタープロウンは
ユニークな料理でコレは食べる価値あり。
ただし、台湾というよりも
東南アジアの香りに満ちた一皿だった。

締めの焼きビーフンはあまりにも凡庸。
家で自分で炒めるケンミン・ビーフンとほとんど変わらない。
あまり台湾料理を食べた実感が伴わないけれど、
振り返ってみれば豆苗が断トツの一番だ。
けだし本物は偉大なり!

=おしまい=

「府城」
 東京都荒川区西日暮里2-54-6
 03-3801-5778