2017年7月14日金曜日

第1666話 策に溺れた小肌酢 (その1)

上野公園から炎天下を歩いて
昼下がりのエンコ(浅草)に到着。
吾妻橋を渡り、アサヒビールの直営店で
冷え冷えのエクストラコールドを1杯飲りたい、
その欲望を抑えに抑えて「神谷バー」の階段を上がる。
待合せに間に合わなくなるからネ。

ところが2階に相方の姿なく、代わりにメールが着信。
20分ほど遅れるとのことだ。
今さら大川渡りに挑む元気もなく、
生ビールのメガジョッキ(1L入り)をお願いする。
60歳超えてのメガジョッキ、
われながらけっこう元気あるじゃん。
ちなみにメガは夏季限定のお徳用なのだ。

昼メシ抜きだったのでカツサンドを頼んでみた。
普段はアウト・オブ・メニューだから
当月のスペシャル・アイテムらしい。
こういうサンドイッチなら食事を兼ねたつまみになる。

ほどなく待ち人来たる。
カツサンドを分け食いしながら
相方はタコの燻製マリネを追加した。
そういえば最近、袋詰めのタコ燻を見掛けない。
イカは目にするがタコはトンとご無沙汰だ。
昔はイカよりタコがワンランク上で値段も割高だった。

いったい、タコはどこへ消えた?
みんなたこ焼きになっちまうんだろうか?
やい、築地銀だこ! オメエのせいだぞ!
ネーミングの勝利だろうが
銀だこは若者を中心として人気があるからなァ。
まっ、しっかたねェか―。

メガから電氣ブランのオールドに切り替え、
しばしの歓談に及ぶ。
「神谷バー」の2階、正式には「レストラン神谷」だが
店内は意外と静かで空席がチラホラ見える。
夕暮れせまるこの時間でこの客入りは極めて珍しい。

吾妻橋を渡って・・・ハハ、まだ言ってるヨ。
もっとも再び生ビールなんて提言したら
却下されるのが見え見えにつき、
2軒目はほかを当たることにする。

かんのん通りから新仲見世。
オレンジ通りからホッピー通り。
ひさご通りのアーケードを抜けて言問通りを横断した。
ここは観音裏である。
目の前のバス停には”奥浅草”とある。
何のための謀略か、行政はそう呼ばせたいらしい。

=つづく=

「神谷バー」
 東京都台東区浅草1-1-1
  03-3841-5400