2017年7月10日月曜日

第1662話 大森で小盛り上がり (その2)

昭和の酒場「蔦八」のカウンター。
ノスタルジックなアトモスフェアに満ち満ちている。
足りないものといえば白髪まじりの店主だけかな。
江戸屋猫八みたいな親父サンが居てくれりゃ、
文句無しなんだがなァ。
いえ、女性スタッフが悪いわけじゃないけんど―。

さっそくの瓶ビールはサッポロラガー、いわゆる赤星である。
真の昭和の酒場、
あるいはその雰囲気だけを粧うエセ酒場、
実際は後者のほうが多いけれど、
とにかくそんな場所でよく見かけるのがこの赤星だ。

以前、どこかで書いたと思うが
一度、赤星と黒ラベルを飲み較べたことがあった。
結果は黒ラベルに軍配。
後味のスッキリ感がまったく違う。
そんなことは生産者のサッポロビールも承知のハズ。
でなきゃ自分とこの主力商品を
黒ラベルから赤星に戻すことだろう。

まっ、ともかく赤星でノドをうるおす。
先刻からうるおしっ放しだが再度うるおす。
突き出しには春キャベツの浅漬けが来た。
シャキっとしていながらフンワリと柔らかくもある。
ビールの友として、いや、日本酒だろうが酎ハイだろうが
まっこと申し分ない。

よく、串揚げ屋やもつ焼き屋で提供される、
生のキャベツがあるでしょ?
味噌かなんかと一緒のヤツ。
あれはイケませんネ。
旨くも何ともない。

生ならトンカツの露払いみたいに繊切りがいい。
葉っぱのまんまバリバリやるのは見た目にも見苦しい。
まったくウサギじゃないんだから―。
もっともオイラは卯年だけんどヨ。

さて、つまみである。
こういう店ではまず、もつ煮込みでしょ。
ここで使用されているのは牛もつ。
それも腸壁にちょっぴり脂の付いたヤツだ。

このタイプの最たるものは江東区・木場の「河本」だろう。
しばらくおジャマしてないけど、あすこの煮込みは脂ビッシリ。
夏場はともかく、冬になると冷たいすきま風のせいで
脂肪がすぐ固まるから急いで食べにゃならんのサ。

=つづく=