2017年9月1日金曜日

第1691話 夕暮れの第一国道 (その1)

その日も暑かった。
最近は遠出をするたびに待っているのは炎天下だ。
現れたのは神奈川県・川崎市。
川崎市といってもいささか広うござんすが
その本拠地、JR川崎駅である。

相方は、めしとも・のみとも・うたともの一人三役、
いわゆる”さんとも”のO戸サン。
駅東口から向かったのは徒歩3分のカラ館で
アーケードの商店街、銀柳通りにある。

誰がつけたか知らないが
銀柳なんてやくざの一家みたいなネーミング。
川崎らしいな、と言ったら市民に叱られるかもネ。
まっ、けっこうなセンスということにしときまひょ。

まずは2時間ほど歌って、
それから隣り町の鶴見辺りで飲む腹積もりだった。
2軒の店にちゃんと目星を付けてある。
ただし、相方は興が乗ると、
3時間でも4時間でも熱唱に及ぶクセあり。
上手いことコントロールしなけりゃネ。

2時間ほど経過。
「たいがいにしてそろそろ河岸を替えようや」
切り出すと、意外にも素直に
「それじゃ締めはデュエット行きましょう」
「うん、いいんじゃない」

1曲目
「涙と雨にぬれて」(和田弘とマヒナスターズ&田代美代子)

2曲目
「逢えるじゃないかまたあした」(石原裕次郎&川中美幸)

3曲目
「昭和枯れすすき」(さくらと一郎)

この3曲目がいわゆる当日のラストソングだった。
歌詞を見ながら歌っていたが
ふと、その背景に目をやると、
トンネル状のさびれた飲み屋街が映っていた。

どこかで観た光景だなァと思っていると、
いや、ビックリしたな、もう!
これから向かうつもりでいた、
JR鶴見線・国道駅の高架下じゃないか!
目当ての店「国道下」は映っていないが
すでに閉店した「とみや」の袖看板は
しっかり撮られている。
こんなことってアリィ?

=つづく=