2017年9月13日水曜日

第1699話 バターとオリーヴ油

北区・王子の酒場で飲んでいた。
あじ酢が運ばれたところでビールから清酒に切り替える。
夜の帳が下りて店内は立て混んできた。
キツキツではないが
相席の隣りは50代とお見受けする熟年カップル。
到着早々、ビールで乾杯している。

オジさんのほうが口を開いた。
「この間さァ、会社の飲み会でイタめし行ったんだヨ」
「珍しいわネ、イタリアンなんて」
「女子に選ばせると、そんなんばっかりや」
「若い娘はやかましい居酒屋がいやなのヨ」
「だけどパンにバターじゃなくて油出しやんの」
「ああ、オリーヴ油ネ、いいじゃない」
「そういうもんかな、でも油はヤだヨ、バター出せっての」

聴くともなしに聴いていた。
オジさんの言い分はよく判る。
オバさんの意見にも理がある。
どんなパンか判らぬが個人的にパンにはバターかな。
殊に食パンやバゲットには絶対バターだネ。

イタめし屋ということなので
ひょっとしたらフォカッチャだったかもしれない。
オイルの浸み込みやすいフォカッチャなら
逆にオリーヴオイルのほうがいい。
味覚的にも両者の相性はピッタリだ。

J.C.はどちらも好きだが、より重要なのはバター。
今、コレを書いているのは3日前の日曜朝。
ついさっき、6枚切り食パンをトーストし、
バターをたっぷり塗って食べたところ。
あとはアイスのストレートティーとホットのミルクティーのみ。
朝食はシンプルでありたい。

バター好きには理由がある。
就学前、幼稚園に通っていた頃の朝食は
バター醤油ごはんが一番多かった。
週に三度はそれだったと記憶している。
幼い時代に好んだものは
懐かしみもともなって簡単には忘れられない。

あとは幼稚園に持ってゆく昼の弁当。
週一でバターと砂糖のサンドイッチだった。
意外と思われるかもしれないが
当時はワリとポピュラーな食べものであったのだ。
これはあまり好きじゃなかったけどネ。

炊き立てのごはんにバターを一片のせて生醤油をたらり。
今でもときどき食べたくなるときがある。
ただ、バターシュガーサンドはさすがに気色が悪く、
就学後は一度も食べていない。
バターとオリーヴ油、
たまたま酒場で耳にしたハナシでした。