2017年9月28日木曜日

第1710話 京王線に乗って (その4)

生ビールを飲み、天丼を食べたあと、
高幡不動駅の周辺をぶらつく。
そろそろ調布方面に移動せねば―。
改札のある2階にエスカレーターで上がると
多摩モノレールへの乗り換え通路があった。

ふ~ん、モノレールねェ。
浜松町と羽田空港を継ぐ東京モノレールは
何度も利用しているが多摩モノレールに乗ったことはない。
あまり乗りつけない乗り物だし、
多少、アクロフォービア(高所恐怖症)のケもあるからな。

時刻は16時前である。
調布までは15分もあればじゅうぶんだろう。
適当な止まり木に止まるにはちと早すぎる。
自慢じやないが気まぐれな性格につき、
気に迷いが生じた。

せっかくの機会だからやっぱりモノレールに乗ってみようか―。
思った瞬間に京王線改札から遠ざかる自分がいた。
どこへゆくのかノー・アイデアながら
南に下れば多摩センターから多摩自然動物園、
北に上れば立川方面のハズ。
とりあえず立川を目指すことにする。

眼下の町並みを見下ろしながら、さて、どうしよう。
頭の中にあるリストのページをめくってゆく。
思い浮かんだのは2軒の店だった。
国立の「ノイ・フランク」はジャーマン居酒屋。
国分寺の「いながき」は焼きとん屋だ。
そうねェ、ツレがあれば前者、
ソロなら後者ということになるかな・・・。

JR中央線・国分寺駅北口は再開発の工事が進んでいた。
最後に訪れたときとさほど景色は変わっていない。
見覚えのある道筋を歩いて
「いながき」の前に到着したのは16時半。
暖簾はまだオモテに出ていない。
ガラスを透かして中をうかがうと、
オジさん二人がリラックスして休憩中である。

17時の開店は想定の範囲につき、近辺を探索にかかった。
この町を歩くのは3年ぶりだ。
その際に立ち寄った「いながき」を忘れることができない。
串の種類豊富な焼きとん群の中にあってただ一種、
鳥もつというのが抜群に旨かった。
コイツは外せないゾ。

30分ほどの散策はあっという間。
店に戻ったのは17時10分だ。
ありゃりゃ、コの字のカウンターはほぼ満席じゃないか!
やっちまっただヨ。

=つづく=