2017年9月15日金曜日

第1701話 浅草カーニバルの夜 (その2)

こよなく愛する「弁天山美家古寿司」。
にぎりは第二弾の3、4カン目に入っている。
今が旬の新いか&新子を通した。
新々コンビでいってみたのだ。

新いかはすみいかの赤ちゃん。
目の前の種ケースには
茹でられた新いかのゲソが可愛らしく並んでいる。
ちょうど人間の赤ちゃんのニギニギした手のひらのように。
世のイカ類の中で生の新いかより柔らかいイカはナシ。
見た目つややかにして舌先になめらかである。

新子は小肌の幼魚のこと。
シンコ→コハダ→ナカズミ→コノシロ
と順を追う出世魚だ。
山口瞳をして
「九段下『寿司政』のしんこを食べないと私の夏が終わらない」
そうとまで言わしめた新子であり、「寿司政」である。
これは小さいのが2枚づけできた。

続いては真鯛&あじ。
「美家古」の真鯛は霜降りの松皮造りだ。
皮をむかずに残す手法で旨みを逃がさない。
真鯛ならではの美味しい食べ方である。

あじは中ぶりのちょうどよいサイズ。
と、あじ好きの相方は思ったそうだが
J.C.はもっと小ぶりが好みだ。
もちろん酢の入り具合よろしく、じゅうぶんに美味しい。

ここで新いかのゲソがサーヴされる。
新いかのにぎりを注文した客の特権だろうか?。
ご丁寧に山わさび(ホースラディッシュ)が添えられて
デリケートな滋味、ここにきわまれり。

7、8カン目は貝類を所望した。
北寄貝&赤貝である。
北寄はその名の通り、北海道が主産地。
中でも苫小牧の名産といわれる。
ただ1~3月が旬につき、この時期はイマイチだ。
正式名を姥貝といい、30年もの長命を誇る稀有な貝である。
ザッとキャッツ&ドッグスの二倍、いや、長生きだねェ。

やはり冬場が旬の赤貝もイマイチ。
赤貝が旨いのは牡蠣とほぼ同時期に当たる。
貝類で夏によいのはあわびと
日本海側に限った、とり貝くらいではないか。
香りの強いヒモをにぎってもらえばよかったかもしれない。
いずれにしろ、素材の良し悪しは季節要因が最大で
天下の江戸前鮨店ですら自然の摂理に抗えるものではない。

=つづく=