2017年9月6日水曜日

第1694話 夕暮れの第一国道 (その4)

薩摩藩とエゲレスが一戦交えた薩英戦争。
ついこの間も議員同士の醜聞が表沙汰になり、
「(一戦は交えたけれども)一線は越えてません」―
なんてアホな言い訳をした挙句、
政活費横領が発覚して辞職した小悪党がいたっけ―。

さて、善玉のわれわれは戦争の火種となった、
生麦事件勃発の地、「大番」で飲んでいる。
カウンターだけの立ち飲み酒場だ。
ナマ物のお次は揚げ物をお願いした。

イカフライとポテトフライはどちらもまずまず。
パン粉のキメが細かいのが特徴と言えば特徴か。
大衆酒場のつまみ類は醤油で食べるものが多い。
その点、ソースとマッチするフライやカツの類いは
とても重要な役割を担っている。
日常のめしのおかずにも言えることだが
ずっと醤油味が続くとイヤになってくるもんネ。

滞在時間は1時間足らず。
当夜の2軒はいずれも長居に向かなかった。
いえ、不満はないですけどネ。
ちょい飲みハシゴには打ってつけでありましょうヨ。

京急・生麦駅で品川行きの電車に乗った。
二人ともまだ帰るつもりはさらさらない。
川崎を過ぎ、蒲田を過ぎ、
J.C.が小学生時代を送った平和島を過ぎた。
その隣りの大森海岸で下車する。
そこからJR大森駅まで10分ほど歩いた。

到着したのは1ヶ月半前にも訪れた、
山王小路飲食店街、通称・地獄谷である。
蟻地獄にはまったわけではけっしてないが
何となく足が向いてしまったのだ。

勝手知ったるとまでは言わないけれど、
だいたいの様子はつかんでいる。
こういうことはだいたいでいいんだ、だいたいで―。
前回同様、小路を行ったり来たり。
扉を開けたのは「H」なるスナックであった。

ママが独りに先客が二人、静かなものだ。
バックバーには相当数のボトルが並んでいる。
キープ用のボトルではなくて洋酒や焼酎が主体だった。

さっそく生ビールを2杯。
銘柄は一転してアサヒスーパードライである。
記憶が確かなら昔はこの地にアサヒの工場があったハズ。
多摩川を渡り返せばアサヒの縄張りとなる。

「H」にはスコッチやバーボンも揃っていたが
ビールのあとは芋焼酎の一刻者に切り替えた。
それも2杯にとどめた。
飲み放題・歌い放題を謳う店だが
飲み過ぎ・歌い過ぎは見苦しいからネ。
ここでの滞在も小一時間。
カラを含めて4軒も回ったから
これにて本日の打ち止めなりぃ~!

=おしまい=

「大番」
 神奈川県横浜市鶴見区生麦3-6-5
 045-521-6800