2017年9月4日月曜日

第1692話 夕暮れの第一国道 (その2)

ラストソング「昭和枯れすすき」の背景に
これから出向くJR鶴見線・国道駅のガード下が映し出され、
ブッタマゲたところである。
とにかく2時間少々歌い、目的地を目指した。

京急川崎から電車に乗り、向かったのは花月園。
カタギ衆には縁薄かろうが競輪場で有名な土地柄である。
かつて生麦事件が勃発し、
今はキリンビールの工場がある生麦の一つ手前の駅だ。

花月園はもともと遊園地だった。
全盛を誇った大正期には
宝塚にならって自前の少女歌劇団を結成し、
西の宝塚、東の花月園とまで並び称された。

競輪場とは線路の反対側、
鶴見川のある東口に出てしばらく歩き、
第一京浜国道にぶつかった。

  ♪   つらい恋なら ネオンの海へ
     捨ててきたのに 忘れてきたに
     バック・ミラーに あの娘の顔が
     浮かぶ夜霧の ああ第二国道   ♪
          (作詞:宮川哲夫)

フランク永井の「夜霧の第二国道」は1957年のリリース。
同年の「有楽町で逢いましょう」より前に
発表されていたが「有楽町で~」の大ヒットにより、
こちらの人気にも火が付いたカタチとなった。

さて、目の前には第二国道ならぬ第一国道。
暮れなずむ左手(川崎方面)を見やれば、
数百メートル先に電車の高架がのぞまれた。
ここにJR鶴見線・国道駅があるのだ。

第一国道の真上にあるから国道。
何ともシンプルな駅名である。
そしてその駅の直下、
改札口の前にあるのから居酒屋「国道下」。
シンプルさはとどまるところを知らない。

ここへ来たのは11年ぶり。
忘れもしない、あれは2006年のGWだった。
東急池上線・池上駅前の中華料理店「松花江」で
ランチを食べたあと、いや、そこから歩いた、歩いた。
何たって横浜まで踏破したんだからネ。
国道はその途中に通りすがったのだった。

「昭和枯れすすき」の映像にあった「とみや」は
とっくの昔に看板を下ろしている。
現在も営業を続けているのは「国道下」だけだ。
とにかく狭い店舗なので
夏場は店先にテーブルを出しており、
そこも客であふれ返っていた。

=つづく=