2017年10月6日金曜日

第1716話 鰻や穴子の舞踊り (その1)

上野・山下の居酒屋でたまたま知り合った、
H谷サンと酌交を約したのは九月下旬。
東急大井町線沿線にお住いの御仁に敬意を表して
落ち合ったのは東急東横線の自由が丘である。
とは言いながら、
本音は自分が自由が丘に行きたかったんだ。
しばらく訪れていないからネ。

鰻串焼きの老舗「ほさかや」と
同じ並びにある街のランドマーク的(呑み助には)存在、
「金田」をハシゴすることで意見の一致をみていた。
数軒しか離れていないから移動に便利なことこのうえない。

待合わせは開店時間の16時に「ほさかや」。
5分ほど前に到着すると店先には
気の早い連中がすでに10名あまりの行列を成している。
相方の姿はないし、過去に未訪のため、
店内の様子やキャパが判らず、ちと不安になってきた。

16時ちょい前に暖簾が出され、客が中へ誘導されてゆく。
客は奥から順に送り込まれるが1席空けて座ると
「空けないで詰めてください」―
店主にやさしく指導を受けた。
「ツレがすぐ来ますので」―
この一言で諒解される。

すかさず電話を入れたら
相方は駅北口で当方の到着を出迎えていた由。
「あれっ、店に直接だった? オーケイ、10秒で着くから」―
一安心である。

ビールはスーパードライの大瓶。
確かキリン一番搾りもあったハズ。
飲み屋たるもの、やはり最低2種は揃えてほしい。
その点「ほさかや」は合格。
ただし、サービスのお通しがいただけなかった。
小鳥のエサみたいなキャベツもみだもの。
まっ、無料の品に文句は言えないけどネ。

とにかくビールはすぐ来て乾杯を済ませたが
焼きものの注文はなかなか取ってくれない。
アッという間の満席だから仕方ナシである。
こりゃ1本づつなんて悠長なことはやってられないな。

塩焼き・からくり・肝・ひれ、
以上4種を2本づつお願いした。
他店ではくりからと呼ばれる小口切りの串焼きが
なぜかここではからくりと呼ばれる。
そのカラクリは判然としない。
塩焼きというのは、からくり(タレ)の塩版である。

=つづく=