2017年10月9日月曜日

第1717話 鰻や穴子の舞踊り (その2)

目黒区・自由が丘の「ほさかや」。
相方は初めてサシで飲むH谷サンである。
開店からいきなり立て混んでいるため、
鰻の串焼きをまとめて8本お願いしたところだ。

オーダーを通すまでは待たされたが
通してしまえば、あとはスンナリ。
ホンの2分程度ですべてが目の前に並べられた。
タレ焼きが6本、塩焼きが2本、
2枚の皿にちゃんと棲み分けが成されている。
当たり前といえば当たり前とはいえ、
こうしてもらえるとやはりうれしい。

常識的にまずは塩焼きに手をのばす。
からくり焼きの塩版である。
フム、それなりに旨いが期待したほどではない。
続いて同じ串のタレを。
フム・・・別段、特筆すべき点はない。

ビールで舌を湿らせて、お次はヒレに挑んだ。
ヨソではなかなか味わえないヒレ焼きは
稀少価値のありがたみのほうが
味そのものに勝っている。
ちょいとばかり泥臭いというか、生臭いといおうか、
クセがあるから万人向けではない。

二人揃って日本酒の常温に切り替える。
秋田県・秋田市の高清水だ。
一升瓶をチラリのぞいたら
ラベルに”辛口”の二文字が見えた。
ワリと好きなタイプである。

あちこちの鰻屋で食べ慣れている肝はこんなもの。
居酒屋のソレならいざ知らず、
専門店の肝で外したらどうしようもないやネ。
どうにか及第点に達している。

串焼きはもうじゅうぶんなので
レバーの塩蒸しというのを追加。
鰻の血液は人体に有害だから
必ず火を通さなければならない。
鰻屋の品書きにうな刺しとか、
肝刺しとか見つけても
けっして生の刺身ではなく湯がいてあるハズ。
「ほさかや」では塩蒸しを供している。

いざ食べてみると、どうということもなし。
むしろ、これもまた生臭い。
ポン酢と紅葉おろしでは太刀打ちできぬクセを感じた。
はるばる遠征してきた自由が丘ながら
ハズしちまったんかいな?

=つづく=