2017年10月17日火曜日

第1723話 サンマの紹興煮 (その1)

今年は秋の味覚の代表格、サンマが不漁だという。
九月半ばを過ぎてようやく
漁獲は回復傾向にあるというが
過去の豊漁期に比べればずっと少ないそうだ。

先日、近所の鮮魚店に生の新サンマを見掛けた。
サイズが大・中・小とあり、
中が1尾200円、小は200円弱、大は200円強である。
サンマの周りにはイワシ、アジ、カサゴ、
舌平目、スルメイカ、白イカが並んでいる。
刺身のショウケースには
バチマグロの赤身と中とろ、真鯛、カンパチ、かつお、
〆さば、〆小肌、赤貝、ツブ貝などなど。

首をかしげて上空の白雲を眺めるともなく眺め、
はて、どうしたものかのぉ・・・。
以前はあまり並ばなかった小肌が
最近はよく見掛けるようになった。
好物につき、あれば購うのが常、
この日もまずは小肌を4枚に赤貝を一舟、
そして小さいサンマを1尾、買い求める。
サンマは頭と尾を落とし、
胴を真っ二つに切断してもらった。

帰宅後、手を煩わすのはサンマだけだが
粗塩を振ってグリルで焼けばそれで済む。
野菜庫には大根も酢橘(スダチ)も眠っているし、
何の苦労もない。
とは思ったものの、
芸がないので焼かずに煮ようと考え直す。

煮魚は焼き魚に負けず劣らず好きなのだ。
カレイ類や穴子、あるいはカスベ(エイ)が理想的で
イワシやアジなどの青背はめったに煮ない。
ただし、サンマは例外中の例外。
佃煮風に仕上げた実山椒をストックしているから
ちょいと小ジャレて有馬煮にするわけだ。

大き目のフライパンに水を張り、
砂糖と醤油と日本酒を投入して煮立てる。
臭い消しの根生姜を削り終え、
酒類の並ぶ棚に再び目をやった。
おっと、紹興酒があるじゃないか。

瞬時に閃いたネ。
有馬煮はよして中華風にしてみよう。
山椒の代わりに花椒(ホアジャオ)があるし、
香菜(シャンツァイ)もまだ元気。
すでに日本酒を入れてしまったが
追いかけて紹興酒をドボドボと注いだ次第なり。

=つづく=