2018年3月5日月曜日

第1820話 三匹のおっさん (その2)

三匹のおっさんは永代通りを東へのんきに歩いた。
東陽3丁目の交差点をを左折して
大門(おおもん)通りへ入る。
洲崎遊郭と吉原遊郭を結ぶ道筋がここ。

芝増上寺の大門(だいもん)と読みを異にするのは
いくら何でも遊郭と仏閣を一緒くたにはできないから。
そりゃ”性”と”聖”をごちゃまぜにしちゃいかんわな。
とは言っても古今東西、
聖職者による性食はあとを絶たんがネ。

15分以上歩いたかな?
到着したのは
夜な夜な近隣の住民が押し寄せる「夢乃家」。
江東区で”夢”と聞くと、
第一感は夢の島だが、ここは「夢乃家」だ。

引き戸を引けば、左手にカウンター、
右には4人掛けテーブルが2卓、
奥には一般家庭のお茶の間みたいな小上がり。
下町ならではのレイアウトといえよう。

人気店につき、念のため、開店時刻の17時半に
カウンターの席を予約しておいたのだが
奥のテーブルに案内された。
手前の卓上にも予約札が置かれていた。
初老の夫婦、二人だけの切盛りである。

そこそこ立て混んでいるから
なるべく女将の手をわずらわせまいと、
サッポロ生ビールの大ジョッキをお願いする。
いや、これがまたデカい。
まっ、J.C.の手に、もとい、
ノドにかかれば、どうということもないがネ。

おっさん二人は相も変わらず日本酒だ。
ともに筋金入りの呑ん兵衛だから
心配は無用だけど、いささか飲み過ぎ、
ちと心配になってきた。

つまみの注文は客がメモ用紙に
ボールペンで書きこむスタイル。
イチ推しの焼きとんはシロとレバを3本づつ。
まぐろぶつを1人前にアラ大根を2人前、
ササッと記入してスッと提出した。

炭火で焼いたわりに串はそれなり。
焼き魚が旨いらしいが
当夜は鮭ともう一つは何だったっけなぁ・・・。
食指が動かずスルーしたのだった。

=つづく=