2018年3月28日水曜日

第1837話 変わりゆく大井町 (その3)

2個目の缶ビールを飲みながら
まだ「肉のまえかわ」にいる。
以前より客たちに若いカップルが目立つようになった。
料理が旨いわけでもなく、居心地がいいわけでもない。
気軽に安く飲めるからだろうか?
メディアでたびたび取り上げられたからだろうか?

さて、そろそろ河岸を替えるとするか。
おっと、大事なことを欠き忘れた。
苦言ばかりで気が引けるが
この店には割り箸がない。
もちろん使い回しの利く塗り箸もない。

代わりに焼き鳥用の竹串が用意されている。
客たちがこれを2本使って焼き豚や牛タタキを食べるのだ。
コストカットもここまでくると、不便だねェ、不快だねェ。
30分足らずの滞在で退散した。

東小路には戻らず、すずらん通りを行った。
ちなみに「肉のまえかわ」は
東小路とすずらん通りの角に位置しているのだ。
ホンの15メートル先にある「磯平」に入った。

比較的珍しい赤ホッピーのセットをお願いする。
ホッピーには白・黒・赤とあり、
赤が売り出されたのは10年ほど前と記憶する。
製造元は焼酎の割り材の役割もはたすが
そのままストレートで飲んでも美味しいホッピーとして
開発したのだった。
まっ、そういう飲み方ではあまり旨くないがネ。

相方のレモンサワーとグラスを合わせる。
つまみは牛もつ煮の”課長”(350円)というヤツ。
つらつら思い出すに確か、
シンプルなもつ煮が”平社員”で豆腐入りが”課長”。
大根が入ると”部長”で全部入りは”社長”。
まったく具材ナシのつゆだけは”会長”でこれはロハ。
ロハは只(ただ)のことである。

豆腐好きの相方があえて”課長”を支持したのだが
肝心の豆腐の中心部分が冷たい。
この一点だけ取っても大した店でないことが判る。
それでも安いから客入りはそこそこだ。

ダメ元で河豚の薄造り(390円)を所望してみた。
世の中に390円の河豚刺しがあるものだろうか。
いったいどんな河豚なのか、見当もつかない。
接客係を問い質すのは野暮だから未だに判らない。

ところがこの薄造り、
多少水っぽいものの、想像以上だった。
ホッピーの中(焼酎)をお替わりして次へと向かう。
ターゲットは珍しくもメキシカンであった。

=つづく=

「肉のまえかわ」
 東京都品川区東大井5-2-9
 03-3471-2377

「磯平 すずらん通り店」
 東京都品川区東大井5-2-7
 03-6433-2527