2018年3月27日火曜日

第1836話 変わりゆく大井町 (その2)

大井町は東小路の角にある「肉のまえかわ」。
ビール用のグラスが貸してもらえない。
チャイナ娘にはハナからそういう発想がないから
一向にラチがあかない。

仕方ねェなァ・・・交渉はあきらめた。
こういうときは実力行使に出たほうが早い。
娘たちを無視してやおらグラスに手を伸ばす。
すると驚いたネェ、「飲みますよぉ!」のネエちゃん、
いきなりJ.C.の手を思いっきり引っぱたきやんの。
イテッ! イテテテッ!

ハハ、ってのは真っ赤な嘘、いえ、冗談、ジョーダン。
いくら何でもそこまではしないわな。
角界に限らず、飲食業界においても暴力は許されんもん。
おっと、グラスに手を伸ばしたってのも冗談でっせ。

J.C.が取った行動とは相方をしばし待たせての外出だ。
近くのコンビニまでひとっ走りの巻である。
買い求めたプラスチックのコップは
10個も入って108円でありました。

意気揚々(でもないか)と舞い戻った。
おう、おう、チャイナドレス、じゃなかった、
チャイナ娘が見てるヨ、見てるヨ。
あの客、いったい何処へ行ったんだろう?
そう思っていたに相違ないネ。

悠々とプラコにビールを注いで乾杯。
ハッハッハ、どんなもんだい!
コップを掲げながら娘たちを見やると、
揃ってプイッと横を向いたネ。

でも、よくよく考えりゃ、
いい歳こいて何やってんだろう。
ホンのちょっとだけど、自分で自分がイヤになる。
ポテサラをつまみながら、そう思った。

気を取り直し、きゃつらの元に出向いた。
ケンカを売りに、もとい、串カツを買いにネ。
この串カツがちっとも旨くない。
再びきゃつらの元に―。
いえ、文句を言いにじゃなくって
カンビールを二つぶら下げて―。

それにしても昔は居たオジさんやオバさんは
いったいどこに消えたのだろう。
人件費を抑えるため、外国人労働者に任せて
自分たちはラクしているんだろうか?

=つづく=