2018年3月14日水曜日

第1827話 江戸のはずれの江戸川区 (その5)

地下鉄・都営新宿線・船堀駅そばの食堂に始まり、
大衆酒場を2軒回って、駅近くに舞い戻ってきた。
新宿線終点の本八幡にでも移動しようか・・・
 相方と合意に至ったそのとき、
進行方向左手の小道にほのかな灯りの点りをみとめた。
飲み屋か料理屋に相違ない。
電車の移動は面倒だからと入店を決意する。
 
店の内外に「伊勢周」や「カネス」のような大衆感はなく、
れっきとした割烹は「三河屋」。
カウンター、ちょうど主人の正面に席をとる。
30分は歩いたから冷たいビールが旨い。
酔いも醒めてきたのでまだ酒は飲めるが
スパゲッティ・グラタンとワンタンメンをやっつけちゃ、
食べものは何もほしくない。
 
ビールは何だったっけ?
キリンラガーの大瓶だったような・・・。
こういう店において
飲みものだけで済ませることなどできやしない。
何か軽いつまみを物色せねば―。
主人のオススメは活けの車海老。
これなら胃に負担が掛からない。
ちょいと出費がかさむものの、渡りに舟とお願いする。
 
1人当たり2尾の計4尾。
身は活け造り、いわゆるオドリだ。
カブトは塩焼きにしてくれる。
どちらも不味いワケがない。
 
日本酒に移行した。
広島県・福山市の天寶一(てんぽういち)をいただく。
相方は山形県・酒田市の上喜元を選択。
互いに互いのグラスをちょいと味見してから乾杯。
本日4回目ともなれば新鮮味はまったくない。
 
さて、車海老だけでは愛想がないし、
次は何をお作りしましょう?
とばかりに手ぐすね引く料理人も張り合いがなかろう。
もう一品注文するのが礼儀であり、作法でもある。

やはり小品の鰻肝焼きを追加する。
効果のアル・ナシは定かでないが
とにかく栄養&ビタミンの宝庫といえる鰻。
しかも良いモノが凝縮していそうな内臓だ。
今宵もまた酷使してしまったわが肝臓を
多少なりとも労わらねばならない。
 
振り返って車海老の味はよく覚えているけど、
肝焼きのほうはほとんど記憶にない。
酔いは醒めてなかったんだネ。
てなこって長い夜もこれにてお開きと相成りました。

=おしまい=

「三河屋」
 東京都江戸川区船堀4-12-15
 03-3687-3949