2018年6月20日水曜日

第1897話 三角地帯でハギとシラウオ (その2)

三軒茶屋の三角地帯にある「KUNIKAGE」。
兼八をゆるりと味わっているところへ
かわはぎ肝和えがサーヴされた。
実は注文の際、目の前の造り手、
おそらく店主だろうが、短いやりとりがあった。

「かわはぎの状態はいいですか?」
「ハイ」
「オススメできる?」
「ハイッ!」
いいでしょう、いいでしょう、いただきましょう。

すでにカワハギは自身の肝と和えられている。
これをポン酢でいただくのだ。
一箸つけて、う~ん、いいネ、美味いネ、コイツは―。
こういうモノはそのタチもさることながら鮮度が命。
殊に肝はアシが速いのでちょいと時間を置くと
たちまち臭みが出てしまう。
その点、当店の一品は文句のつけようがなかった。

期待通りのハギ君に頬は緩み、機嫌までよくなる。
われながら単純なものだ。
グラスがカラになり、芋焼酎・山ねこのロックに。
相方はサントリー竹鶴の水割りをなめている。

肝和えはまったくもって兼八に良し、山ねこに良し。
つまみがさらにもう一つほしい。
協議の末、しらうお天ぷらを所望した。
これもまたJ.C.の好物なのである。

やや大き目のシラウオはバラ揚げにされて登場した。
ちょいと高級な天ぷら店では
数尾まとめて揚げられることが多いが
ここは専門店じゃないからネ。

いや、これもなかなかである。
塩を振っていただくのが何よりである。
この時期なら青森は小川原湖の産とみて
まず間違いはなかろう。

思いがけない佳店にめぐり逢え、
頭の中にミック・ジャガーの歌声が響き渡る。
どの曲だ? ってか?
もちろん「サティスファクション」でんがな。

お勘定は7千円でオツリがきた。
ありがたきシアワセなり。

夜の三角地帯を再び迷歩。
吟味に吟味を重ねて1軒のスナックに突入。
いやはや、これがまたアタリ!
いかん、いかん、またミックが歌い始めたぜ。

  ♪ I can't get no satisfaction  ♪


「KUNIKAGE」
 東京都世田谷区三軒茶屋2-14-16
 03-6413-8026