2018年7月26日木曜日

第1923話 猛暑日のブイヤベース・ラーメン (その1)

こう毎日、猛暑日が続いたひにゃ、
いちいち猛暑日とことわりを入れてもあまり意味がない。
半月前に予告しておいた、
台東区・稲荷町の「らーめん 稲荷屋」。
そこのブイヤベース・ラーメンを食べに出向いた。
6・7月限定のスペシャル・メニューである。

JR上野駅の2階部分にある広場から延びる歩道橋を渡り、
浅草通りに降りて東へ歩く。
その名の通り、上野から稲荷町・田原町を経て
浅草に続く大通りである。

街路樹にポツンポツンと百日紅(サルスベリ)が混じっている。
濃紅に染まった花が殺風景な道に彩りを添えている。
杏(アンズ)の花は薄紅色だが百日紅は濃紅色だ。
例年ならば8月に開花する百日紅。
異常に早い梅雨明け、それに続く猛暑の影響は
人だけでなく、草木にも及んでいる。

予約した13時を回ること10分。
思いのほか店内は空いていた。
券売機の限定メニューは1日10食のみの提供につき、
すでに売切れの赤ランプが点っているが
店主に900円の食券の購入を促された。
え~っと、900円、900円・・・あった、あった。
2週前にいただいたワンタンメンのボタンを押す。

カウンターの一番奥に着席。
サービス台の上に食券を置くと、ワンタンメンが2つ並んだ。
隣客の注文は正真正銘のワンタンメン。
J.C.のはワンタンメンに名を借りたブイヤベース・ラーメン。

待つこと5分少々。
ブイヤベース・ラーメンはドンブリではなく、
周りに平たい縁のあるスープ皿で供された。
紛れもないサフランの香りが立ち上った。
スープにやや縮れの中太麺が浸っている。

麺の上を飾る1枚の葉はナスタチウム。
丸く可愛い蓮にも似たこのハーブは
その形状から金蓮花の別名を持つ。
数多いハーブの中にあって
もっともチャーミングなルックスの持ち主がナスタチウムだが
東京で市販されているのを見たことはない。

ほかに小さな葉が3枚。
こちらはマーシュだネ。
20年前に離れたニューヨークでは
スーパーやグロッサリーでよく見かけたハーブながら
これまた東京ではめったに拝めない。
食の大都・東京も食用ハーブの普及度には限りがあるようだ。

スープひたひたの皿の海から
縁どる丘に目を移してみよう。

=つづく=