2018年10月8日月曜日

第1975話 すじがき通りにいかぬ夜 (その2)

ものの5分と歩かぬうちに新丸子駅前着。
無機質な武蔵小杉とは対照的に
庶民の息吹きすら感じさせる、
シタマチックなリトルタウンである。
どちらの町が好きかと問われれば、
応えずとも読者にはお判りでしょう。
 
やって来たのは初訪の「焼きとん 小国」。
これは「ショウコク」ではなく「オグニ」と訓ずる。
到着したのは開店時間の17時ちょい前。
すぐに中から店主が現れ、暖簾を掲げた。
 
あちこちに予約札が出ている中、2人用卓に促された。
これでテーブルはいっぱい。
カウンターに数席残るのみである。
したがってわれわれのあと、
入店してきたカップルは奥のカウンターへ。
 
スーパードライの中ジョッキで乾杯。
突き出しは生のキャベツ。
ありがちでおざなりなモノにちょいとガックシ。
ヒューマン・ビーイングは
カナリヤやジュウシマツじゃないんだからネ。
 
それはそれとしてFチャンとサシで飲むのは
暑い、もとい、熱いさなかの7月以来。
あのときは上野の銘酒屋だった。
この人の好いところは居酒屋だろうがバーだろうが
周りの人々とすぐに会話を始めて仲良くなること。
環境に溶け込む才覚に長けているのだ。
 
長丁場を余儀なくされる夜のこと、
サッサと飲み食いして次に移らねば―。
主力メニューの焼きとんだけにしておこうか。
レバだけをタレでお願いし、
ハラミ、パイ、シロは店の方針に任せた。
 
ちなみにパイとはオッパイ、牝豚の乳房のこと。
有楽町のガード下に「八起」なる名酒場があるが
あすこのオッパイ炒めとコブクロ(子宮)炒めは
バツのグンにして、シュウのイツである。
 
最初にハラミ、これは塩できた。
かなりの大ぶりで食べ応えじゅうぶん。
本音を言えば、大塚の「富久晴」みたいに
小ぶりな串のほうが好きだ。

前述のようにレバはタレ、これもデカいや。
パイもタレで当然大きめ、しかも硬い。
「八起」とはまったくの別物に期待はしぼんだ。
またもやタレのシロは下茹で不十分につき、
いつまでも口中に残り、なかなか飲み下すことができない。
それとも自分の歯が弱くなったんかいな?

=つづく=