2018年10月30日火曜日

第1991話 中華がウリのそば処 (その1)

かつてJR中央線・荻窪駅界隈はラーメンの都であった。
”荻窪ラーメン号”の両翼を担ったのが「丸福」と「春木屋」。
ともに長蛇の列を成す毎日だった。
日毎、遠方からも多くの客が押し寄せたのだ。

2軒の間にしょうもない「佐久信」という店があり、
これがまったくの不人気。
メディアの声掛けでプロジェクトチームができ、
一時は再生をはたしたものの、
結局は薬局、長く続かずに消えた。

十数年前に「丸福」の不祥事が公となり、
衰退の一途をたどることになったが
その影響だろうか、
「春木屋」からも往年の輝きが失われたように思う。

さて、久々に遠征した杉並区・荻窪の街。
当夜のターゲットは「ハルキヤ ホンテン」だ。
しかしながら「春木屋 荻窪本店」ではありまっしぇん。
訪れたのは「春木家本店」でありました。

駅北口に出て青梅街道を東に歩く。
相方と
「あれ~、『春木屋』あんまり並んでないねェ」
「そだねー!」
な~んて会話を交わしながらほどなく左折。
住宅街に入り込んだらホンの2分で到着の巻。

なんか立派なビルに建て替わってるヨ。
「今晩は~」―
暖簾をくぐると先客はゼロ。
そうおっしゃったかどうか覚えていないが
女将サンが
「お好きな席へどうぞ」―
とにかくそんな感じで4人掛けのテーブルに着いた。

ビールは瓶がサッポロ黒ラベルで
生は確かエビスだったハズ。
当然、黒ラベルを所望した。
グビリンコのプッファ~! やっぱり美味いや。
ここんとこひんぱんに
キリンラガーの襲来を受けていたから尚更である。

つまみには何をいただこうかな・・・。
額を寄せて品書きに見入る。
相方がイの一番にリクエストしたのは味噌田楽だった。
ふ~ん、田楽ねェ。
上野池之端のそば屋「新ふじ」の田楽は
コンニャクばかりが大量に来て辟易とした経験あり。
一瞬、その悪夢がよみがえったのでありました。

=つづく=