2018年10月12日金曜日

第1979話 「千住の永見」と「やっちゃbar」(その1)

”棲みたい街”として最近とみに
人気の高まる足立区・北千住。
老人と若者が上手いこと共存しているらしい。
やれ、恵比寿だ、吉祥寺だ、武蔵小杉だと、
都の西や南ばかりがクローズアップされる昨今、
古い人間には北千住の健闘がよろこばしい。

簡単な所用を済ませて時刻は16時。
千住の街には冷たい雨がシトシト降り続いている。
こんな秋の夕暮れには早めの晩酌が何よりだ。
ただし、時間が時間なので
いかに東京の北東のターミナルといえども
飲ませる店は限られてしまう。

裏通りを物色していて「やっちゃbar」なる未訪店を発見。
店先のメニューに惹かれるもの数品あれども
開店は17時と、まだいささかの間があった。
ここはあとで寄ることにしてひとまず立ち去る。

街随一の繁盛店、「千住の永見」は15時半開店のハズ。
ヨシッ、軽く下地を作っておこう。
旧日光街道の飲み屋ストリートに廻った。

暖簾をくぐると、ウワッ、何だヨ、これ!
1週前に訪れた新丸子の「三ちゃん食堂」がよみがえった。
テーブルは客で埋め尽くされている。
カウンターも空席は2つほどだ。
まだ開けて30分そこそこでっせ!

冷たい雨の日に熱いおしぼりがうれしい。
顔を覆ってしばし蒸しタオル状態。
さすがにこのあと髭は剃らないけれど、
ビールが格段に美味くなること受け合いだ。

アサヒの中瓶を飲りながら品定め。
ここへ来ると、名物の自家製さつま揚げ、
その名も千寿揚げのニンニク入りを取るのが常。
しかし、その日は違った。
たまには初物(当店での初注文品)を
試してみようという気になっていた。

ここでは焼きとん・焼き鳥の類いを食べた覚えがない。
壁の短冊に何種か並んでいたが
豚or 鳥の明記がされていない。
いずれにしてもレバなんてあったかな?
あいまいな記憶をたぐり寄せつつ、
タレで2本お願いしてみた。

瓶がカラになってもレバは未着。
千客万来のため、厨房は大わらわだ。
そうか、時間が掛かるならこれも初物の串かつを
2本目のビールとともに追加に及んだ。

=つづく=