2019年6月13日木曜日

第2153話 焼いて食えるな ホロホロ鳥は (その2)

長年、気になっていた”ほろほろ鳥問題”を
自分なりに解決して胸のつかえがとれた。
考えてみりゃ、鳩の鳴き声が
ほろほろと聴こえないこともないし、
”ほろほろ”は鳴き声や鳴く様子を
形容したものと解釈したい。

てなこって、今話の主役はホロホロ鳥。
歌の文句と関係ないほう、
西アフリカはギニア原産のホロホロチョウである。
フランス料理で珍重されるこの鳥の仏名はパンタード。
伊語ならファラオーナだが
未だかつてリストランテで食べていないし、
見掛けたことすらない。

ことの経緯はこうである。
年に何度か集まっちゃ、
飲んで食べて歌うスナッキー・レディースと、
つい先日、旧交を温めた半チャン・フロム・マニラに
彼のピラティスの女性トレーナー、
計6人が一同に会する運びとなった。

たまにはジョイント・ディナーもよかろうもん。
そう思って企画したワケだ。
トレーナーとは初対面ながら
ニューヨークに棲む共通の友人があり、
ハナシは合うし、話題にも事欠かない。

例によって店選びに取り掛かり、
最初に抑えたのは
上野広小路にあるとんかつ屋の座敷。
川島雄三がメガフォンをとった東宝映画、
「喜劇 とんかつ一代」(1963年)のモデルとなり、
舞台(実際にロケ)ともなった老舗である。

ここを諸事情からキャンセルせざるをえなくなり、
代替として択んだのは千駄木のトラットリアだった。
名前は「NOBI」。
数年前にオープンした新店は今回が初訪問だ。

ただし、真向かいにある「サクラカフェ」では
ちょくちょくビールを飲むから、
出入りする客層や盛況ぶりはつぶさに観察していた。
地元での評判も聞き及んでいる。

電話で予約を入れると、
受話器を取った女性スタッフ曰く、
週末で6名ともなれば、速やかに対応するためには
コース料理が望ましいとのこと。

客が自らメニューを組み立てるアラカルトにこそ、
食べる歓びを見い出せるJ.C.は
ここで引き下がるわけにはいかない。
よって、一計を案じてみた。

=つづく=