2019年6月27日木曜日

第2163話 雨の綾瀬は踏んだり蹴ったり (その4)

綾瀬駅改札横の焼き鳥屋「鳥 八代」。
帰宅後、調べてみたら
やはり大手外食産業、トリドールの傘下にあった。
「丸亀製麺」と同じ穴の狢(むじな)であった。

ビールはスーパードライの生。
当店は客の前に配されたウォーマーに
焼き上がった串をスタッフが
次々に並べていくシステム。

客はそれぞれ、出された中から好みの部位を択び、
残った串をスタンドに立てておく。
会計は本数のカウントで成されるため、
串を床に棄てるのは反則。
焼き鳥以外のオーダーは客がメモって手渡す。
近頃、飛ぶ鳥を落とす勢いの「晩杯屋」スタイルだ。

生中をクイッと飲っていると、串が4本並べられた。
もも(塩)とレバ(タレ)が2本づつ。
ウォーマーの真ん中にはタレの容器が設置されている。
=二度づけ禁止=の但し書きとともに—。

ここの串はもも、ねぎま、玉子焼きが大串。
ほかは普通サイズとなっている。
確かにももは大きく、レバは並だ。
火の通し浅いレバが予想をくつがえすほどよかった。

男性二人のツー・オペはてんてこ舞いの大忙し。
持ち帰り客のさばきに手間取るのと、
厚焼き玉子の作成が厄介な様子。
こういう仕事は長時間に渡る重労働のわりに
実入りが少ないと聞き及んでいる。
コンビニ同様、本部ばかりが利益を吸い上げ、
末端の実働者に配分されることはない。

今度は砂肝(塩)とつくね(タレ)の焼き立てが
それぞれ2本運ばれた。
つくねにはしっかりタレが絡んでいるため、
一度づけの必要すらない。
串揚げじゃあるまいし、焼き鳥にタレ壺は無用だろう。

ハツ(塩)を食べたいが忙しく立ち働く二人に
とても声掛けできる状況にない。
何とか中ジョッキのお替わりを通せた。
やれやれ。

子連れママに迎えが来た。
どうやら旦那らしい。
彼は入店せず、母子を連れて立ち去った。
振り向くわけにいかないから、ツラは拝めなかったがネ。

手持無沙汰でめったに口にしない砂肝に手を延ばす。
砂肝をあまり好まぬJ.C.、
文字通り、砂を噛むような思いで味わいやした。

=おしまい=

「鳥 八代」
 東京都足立区綾瀬3-1-32
 03-3690-5170