2019年6月17日月曜日

第2155話 焼いて食えるな ホロホロ鳥は (その4)

18時きっかりに6人のメンバーが勢揃いした「NOBI」。
各自、自己紹介もそこそこに
イタリアビールのモレッティの生やらスプマンテやらで
今宵の宴、楽しからんことを祈って乾杯。

真っ先に運ばれたのは生ハム類の盛合せ。
フレンチでいうところのシャルキュトリーですな。
プロシュートはもとより、コッパやモルタデッラ、
イノシシの生ハムまであった。

白ワインはコルテーゼ種をお願いしたのだが
抜栓されたのはガヴィ・ディ・ガヴィ。
文句の出る道理がない。

続いての料理は新玉ねぎのムース。
塩気はやや強めながら
新玉の甘みが閉じ込められている。
プリンのようにガラスの容器に詰められ、
冷して供される佳品だった。

その上をいったのが鳥レバーのパテ w/バゲット。
肌理(きめ)細かく、なめらかにして
これならわざわざフォワグラを頼むこたあないやネ。
フロア担当の女性(見事な接客ぶり)によれば、
白レバー(脂肝)を使用しているとのこと。
さっすが~!

この店の近く、さっき通ってきた夕焼けだんだんの上に
「花家」なる軽食&喫茶の店があるが
そこでは偽りの豚白レバーを使った、
ニラレバを食わされたっけ・・・。
段上の敵を段下で討った気分は爽快なり。

お次はベラ・ロディ ラスパドゥーラ。
ロンバルディ州はミラノ近郊のロディなる町で作られる、
べラ・ロディというフォルマッジォを
専用のナイフで薄く薄くスライス。
あたかも削り節のようにふんわりと盛り付けるのが
ラスパドゥーラ・スタイルだ。
初めて食べた印象は小さな衝撃。
このチーズは巷にもっと普及し、愛されるてしかるべき。

そして鮮魚のカルパッチョ。
魚種はイナダだった。
ワカシ→イナダ→ワラサ→ブリ
いわゆる出世魚ブリの若魚のこと。
ちなみにワカシより若いのを
ワカナゴと呼ぶようだが、あまり一般的ではない。

鳥取産とあったので第一感は境港ながら
隣接する米子市や県庁所在地の鳥取市にも
多くの漁港を擁する鳥取県のこと、特定はできない。
正直言うと、J.C.は青背のサカナの生は好まない。
カルパッチョでも和食の刺身でもそれは変わらない。
殊にカルパッチョには白身のサカナを使ってほしい。
食べ付けないイタリア人の中には
青背に手をつけぬ者も出てくるだろう。

それでもなお、日本のイタリア料理店で
青背が重用されるのは仕入れ価格が安いから―。
生食用のヒラメやカレイはバカ高いもの。
鮨屋じゃないから仕方ないんだヨ。

=つづく=