2019年11月20日水曜日

第3267話 愛想と手際のよい夫婦 (その1)

そうしてこうして
やって来ました中華「維摩(ゆいま)」。
個性的な店名は古代インドの商人で
釈迦の在家弟子となった維摩居士に由来するというが
宗教的なことは苦手分野につき、よく判らない。

遅れて来たわれわれをマダムが笑顔で迎えてくれた。
この人はエラい。
接客ぶりをつぶさに観察したが笑みを絶やすことなく、
相手の目から視線を外さず、しっかり対応する。
よって誠意が伝わってくる。
シェフと夫婦二人だけの切盛りは息もピッタリ。
理想的なコンビネーションがここにある。

キリン一番搾りの中ジョッキで乾杯。
これが他店の大ジョッキに近いサイズときたもんだ。
こんなところにも店の良心が垣間見えて
ビール好きを歓ばせる。

「ビッグ・エコー」の知多ハイもよかったが
グビ~ッと飲った一番搾りも美味い。
好みの銘柄ではないのに—。
90分のさまよいが貢献しているのだろう。

さて、料理の吟味に入るとしよう。
ランチの際に半ライスだったうえ、
ボックスではつまみ類を取らなかったから空腹感あり。
それが発注増しにつながった。
以下、順に味わっていこう。

最初の1皿は薄切り豚肉のにんにくソース。
いわゆる雲白肉はトマト&きゅうり添え。
この料理はもうちょい脂身の多いバラ肉を
やはりもうちょい厚く切ってほしいが
水準をクリアして無難な冷菜となった。

2皿目は海老のマヨネーズ和え。
これには海老好きの相方が欣喜雀躍。
かくいう当方も舌鼓の巻である。
プリッと仕上げた海老のフリッターもさることながら
マヨネーズに一工夫あった。
ホイップドクリームと合わせたため、
ネットリ感が薄れ、フワフワ感を楽しめる。
料理人のセンスといえよう。

店内はほぼ満席状態。
大勢の客をマダムが愛想よくさばき、
膨大な注文をシェフが手際よくこなしてゆく。
速やかにして滞りというものがない。
マダムはエラいが、シェフはスゴいや。

=つづく=