2019年11月21日木曜日

第2268話 愛想と手際のよい夫婦 (その2)

杉並区・井荻駅前、「維摩」のカウンターに横並び。
中ジョッキを飲み干し、甕出し紹興酒に切り替えた。
氷砂糖を所望した相方にはザラメがサーヴされる。
本場では使わなぬ氷砂糖がなぜか日本ではポピュラー。
近頃、あまり見かけないが
梅酒の仕込みどきはスーパーにも並ぶ。

3皿目は青梗菜(チンゲンサイ)の蟹肉あんかけ。
おや? このサクサク感はいったい何だ?
素材の違いか、腕の違いなのか、
判然としないが、その両方かも知れない。
いずれにしろ青梗菜という野菜を見直した。
願わくば、価格がアップしてもたっぷりの蟹がほしい。

お次は棒春巻。
他店のものより細長く巻かれ、葉巻みたいな形状だ。
揚げ上がりはよりクリスピーとなり、歯切れがよい。
紹興酒の友としても申し分ない。
最初に通した4品を食べつくして、まだ終わらない。

追加は牛カルビのオイスターソース炒めと一口焼き餃子。
このぶんじゃ、飯・麺類にはたどり着けまい。
無理すればイケるが無理する理由などどこにあろう。
何よりも食べ過ぎは災厄の元である

牛肉の牡蠣油炒めは予想通りの味。
カルビのワリに脂が薄いが濃厚なソースにはむしろよい。
若い頃ならここで茶碗、いや、どんぶりめしだが
とうの昔に無理めし・無駄めしとおさらばした二人だ。

一口焼き餃子はちっこいのが8カン。
見た目可愛くとも、餃子本来の魅力はない。
本日唯一のハズレであった。
デカい餃子は避けたいけれど、小さすぎるのも何だかなァ。

紹興酒のお替わりをいきたい。
ところが相方はスナッキーのO戸サン。
酌交はまだまだ続くに決まってる。
すでに頭の中はパープルシャドウズの歌声がグールグルだ。

マダムが並べてくれたのは
杏仁豆腐とココナツミルクのタピオカ。
ほかにはライチと仙草ゼリーなんてのもあって
すべてが230円のサービス価格。
訪れるファミリーはみなデザートまで行き着く。
「ホラ、これ食べないとアンニン頼まないからネ」-
幼子ををさとすママの声が聞こえてきたりもする。

夜更けの井荻の町。
線路の反対側、南口方面をしばし散策したあと、
上り電車に乗って目指したのは
行きつけの小さなスナックでありました。

「維摩」
 東京都杉並区井草3-3-10
 03-3399-1145