2019年11月1日金曜日

第2254話 意外なところで星がれい (その2)

JR蒲田駅東口の「三州屋本店」にたたずんでいる。
星がれいの旨さに舌鼓をポンポン打ち鳴らしていた。
穂じそ、大葉、生青海苔の脇役陣にも手抜かりはない。
願わくば本わさびがほしいが、ないものねだり。
代わりにポン酢を所望したものの、思いは晴れない。
河豚はもとより、平目にせよ、鰈にせよ、
繊細な白身魚は薄造りで初めてポン酢に呼応する。

星がれいの名称の由来は、背びれ・腹びれ・尾びれに
黒い斑紋が星のように散っているから―。

太平洋、日本海、黄海、東シナ海と生息域は広くとも、
漁獲量が少なく、あまり市場に出回らない。

南よりも北に棲む個体のほうが食味にすぐれ、
積丹半島や三陸沿岸のものがよいという。
食べたことはないけれど、
シベリアのピョートル大帝湾でも上物が揚がるそうだ。 

数日前、御徒町のサカナのデパート「吉池」で
たまたま三陸産の星がれいを見初め、ただちに購入した。
300gほどの個体が800円と格安だ。
5枚におろしてもらい、嬉々としてキッチンに立つ。
つたない包丁さばきで何とか薄造り&刺身に仕立て、
すだちポン酢、本わさび醤油で食した。

河豚をそれほど好まぬわが舌は平目と皮はぎを
こよなく愛するが星がれいはその上をゆく。
何たって前夜、シマアジにさえソッポを向いた、
ウチのバカ猫ですら、星チャンを爆食いしやがった。
まさに白身魚のキング、いや、エンペラーですな。
したがってエンペラ部分がまた美味いのなんのっ!
おっと、エンペラはイカ類、鰈・平目はエンガワだった。

中ジョッキのお替わりに合わせ、つまみをもう1品。
煮魚なら真鯛かぶと、焼き魚はぶり照焼きがオススメ、
そう言ったのは先刻のオネエさん。
だけどこちとら、さばの味噌煮をやっつけてるからなァ。
新物のかきが入荷したとのことで、ここはかきフライを―。
3カン付けが600円、5カンはちょいとお得な900円。
もちろん3つで、モア・ザン・イナッフだ。

登場したフライはかなりのサイズ。
この時期、こんなにデカく育つ道理はなく、
明らかに2個抱き合わせだネ。
カットレモンを搾ってパクリ。
う~ん、何と申しましょうか、かき本来の滋味に欠けるな。

お勘定は2550円也。
2軒も寄ったから、さすがに時間が押している。
蒲田駅は目の前なれど、東急多摩川線と同池上線、
どちらに乗ろうか、決めかねておりました。

「三州屋 本店」
 東京都大田区蒲田5-11-10
 03-3731-5647