2019年11月27日水曜日

第2272話 そば屋は昭和27年生まれ (その2)

台東区・松が谷はかっぱ橋本通り。
日本そば屋「松月庵」の敷居をまたいだ。
「いらっしゃいませ」-
おっとりとした声音に迎えられる。
接客は物腰柔らかなご婦人ただ一人の様子。
壁の品書きを一通り眺めたあと、
貼り出されたお昼のセットに目がとまった。

A-海老フライ&かきフライ ごはん
B-手造りカレー丼
               (各870円)

いずれも小さな麺類が付き、もり・かけ・桜から択べる。
おっと、桜じゃなかった、ラーメンだった。
どうも最近、あの悪役パンダみたいなシンゾーの悪相が
まぶたにちらついて、いささかシンゾウに悪いヨ。

「大精軒」でワンタンメンのつもりでいたから
ラーメンに惹かれる。
えてして日本そば屋の中華そばには当たりが多いしネ。
加えて海老ふりゃあはどうでもいいけど、
かきフライはしっかり抑えたい。
即断でAセット&ラーメンを通す。

はたして・・・海老もかきも出来合いの冷凍風。
肩透かしを食わされた感じだ。
ただ、添えもののサラダがおざなりではない。
胡麻ドレのかかった、
トマト・きゅうり・レタスは量もじゅうぶん。

さらにもやし・にんじん・ビーマンを
胡麻油で和えた和風ナムルがたっぷり。
サラダとナムルによって当店の良心が伝わってくる。
味はともかくも誠意は大事だ。
柔らかめのごはんが残念で
たくあんとキャベツきゅうりもみは及第点。

ラーメンはどうだろう。
おや? チャーシューの代わりに厚切りのハムが1枚。
そりゃあ、焼き豚にせよ、煮豚にせよ、
ラーメンのためだけにチャーシューを作ってられんわな。

ほかには、シナチク・ナルト・ワカメ。
ここは支那竹・鳴門・若布と綴りたくなるネ
ほぼ真っ直ぐの中細麺は粉々感満載。
シコシコの歯ざわりにツルツル感はなし
スープはいかにも日本そば屋風。
目をつぶってすすったら、かけつゆと区別がつかないかも?

壁の貼り紙に日本酒・焼酎は16時からとあった。
つまみに稚鮎唐揚げを見つけた。
季節によっては公魚(わかさぎ)に代わるようだ。
近々、晩酌に立ち寄ってみよう。
そばも食べてみたいしネ。

=つづく=