2020年4月13日月曜日

第2370話 散りゆく桜の木の下で

東京メトロ銀座線・稲荷町駅と
日比谷線・入谷駅の中間あたりに
ときどきお世話になるパン屋「S」がある。
先週の暖かい日、購入に訪れた。

その前に昼めしをいきたい。
近くの老舗中国料理店「E」はカニ炒飯がすばらしい。
行ってみたらあいにく定休日だった。
それならと廻った日替わり定食が自慢の町中華「D」。
本日の定食が麻婆茄子では食指動かず、
突如、ランチ難民となってしまった。

このとき、思い出したのは「S」の並びの弁当屋。
「たしろ弁当」は仕出しがメインながら店頭販売もする。
利用したことはないが天気もいいし、近隣に公園もある。
この際、お世話になってみようと思った。

弁当3種、どんぶり1種は
ぎんぽ塩焼き、カキフライ、チキン照り焼きに
チキンカレーのラインナップだ。
好物のカキフライをチョイスした。
味噌汁・緑茶・ウーロン茶から一つ択んで
ワンコインの500円は破格といえよう。

清洲橋通りとかっぱ橋本通りが交差する地点に
北上野児童遊園があって「たしろ」から徒歩1分。
時節柄静かなもので
遊ぶ子ども、それを見守るママもまったくいない。

ベンチに佇むのはオッサン二人のみ。
三人目のオッサンとして桜の木の下に陣取った。
今年、最初で最後の花見である。
酒がないから百合チャンに叱られる心配もない。
もちろん、チコちゃんにもネ。

葉桜の目立つ桜の木は逆五分咲き、花びらが風に舞う。
拡げた弁当は
カキフライ4個、トマトとレタス、出汁巻き玉子、
竹輪の煮たの、しらすおろし、きざみしば漬け、ごはん。

しらすおろし入りの弁当は生まれて初めてだ。
しらすの上に舞い降りた薄紅色の花びらが美しい。
構わず一緒にパクリとやったら以外に美味しい。
小粒なカキフライはカリッと来て、そのあとサクッ。
レベルの高さは上野駅で買える、
どの駅弁よりも上、いや、びっくりしたなァ。

340ml入りの缶緑茶はあまり聞いたことのない、
神戸ビバレッジの製品で、これもありがたい。
帰宅後にチェックしたら、ごはんは山形産はえぬき。
なるほど、どうりで旨いわけだ。
中華を連続で空振ったからこそ出会えたナイスな弁当。
日々の生活、いったい何が幸いするか判りませんネ。

「たしろ弁当」
 東京都台東区東上野6-30-7
 03-3845-1525