2020年4月27日月曜日

第2380話 旧東海道をゆく (その2)

旧東海道沿い、南品川2丁目の「ティンカーベル」にいる。
ティンカー・ベルというのは
「ピーターパン」に登場するピクシー(妖精)のこと。
都の自粛要請に対し、J.C.なりに応えたつもりだ。
要請に対しては妖精でネ。

日替わり2番はスープで始まった。
砕いたクラッカーとパセポンの浮かぶ、
ポタージュはコーンクリーム。
量もしっかりあって造り手の律儀さと誠意を感じる。
今どきの洋食店における、
おざなりな化学コンソメとは比べるべくもない。

メインプレートが整った。
同時に運ばれたパン皿には
バターロール1個とバゲット1切れ。
この組合わせでよみがえるのは昔のホテルの結婚披露宴。
フランス料理のコースは常にこれだった。
しばらくフルコースの婚礼に出席していないけれど、
今もそう変わらないだろう。

サーモンムニエルにはたっぷりのガーリックスライス。
魚介料理にニンニクは珍しいが
ブイヤベースのアイオリには生で使われるからネ。
ただし、火の通しが浅く、
ステーキに添えられる、ガーリックチップとは異なる。
レモン醤油仕立てでパンよりライスが合いそうだ。

カニクリコロッケはコロモのガシガシ感が気になった。
これを避けるには揚げる直前にパン粉を付けるしかない。
タルタルソースの力を借りながら食べ進む。

ガルニのサラダは、レタス・キャベツ・きゅうり・
トマトと、野菜ふんだんながら
胡麻ドレッシングが洋食らしくない。
サーモンのレモン醤油といい、
年配客の嗜好に歩み寄る姿勢が見てとれる。
アメリカンに近いコーヒーを飲み、
1100円を支払い、なおも旧東海道を南下した。

青物横丁を過ぎ、鮫洲のちょい手前で
いつか立ち飲んだ、角打ち「飯田屋酒店」が健在。
あれはいつだったか・・・。
例によって、あとで調べたら2010年7月のこと。

ついでにもっと調べたら何とこの7月、
31日間に訪れた角打ち酒屋は
雑誌の取材もあって実に38軒。
北は西新井大師から南は鎌倉に及んでいる。

大師さまや大仏さまのお膝元で
さんざっぱら飲んでおきながらバチも当たらず、
肝硬変を患うこともなかった。
わが健肝と悪運に改めて乾杯!

「ティンカーベル」
 東京都品川区南品川2-17-27
 03-3458-9424