2020年6月18日木曜日

第2418話 目黒で出会ったサンマリノ

理髪を終えて歩く目黒の街。
権之助坂のある西口方面は毎度通るので
この日は白金台に続く東口を徘徊した。
時刻は15時過ぎ。
軽い朝食後、何も口にしていないから空腹だった。
たまには気取ってプラチナ通りのカフェあたりで
シロガネーゼの奥様方と空間を分かち合おうかな?

漠然と思っていたら、高速道路の高架手前で
店頭にトリコローレを掲げるイタリアンに通りすがった。
「リストランテ サンマリノ」。
何ナニ? サンマリノ共和国の郷土料理屋とは珍しいな。
東京で初めて見たゾ。
イタリア国内に位置する小国の面積は60キロ平米。
東京都・大田区とほぼ同じだ。

あれはシンガポール赴任時代の1986年夏。
仲間と4人、イタリア旅行に出掛けた。
ヴェネツィアでレンタカーを借り、
アドリア海沿いに走ってラヴェンナからリミニ、
あとは山道をひたすら上ってサンマリノ着。
個性的な料理やワインに接した記憶はまったくないが
翌朝目覚めて見た、朝もやの中の光景は今も覚えている。

さて、目黒の「サンマリノ」。
うれしいことに15~18時はハッピーアワーで
数種類の飲みものが380円均一。
必飲の生ビールはカールスバーグと、好きな銘柄だ。
ハイ、此処に決まりっ!

1階がカウンター、2階がダイニング、
2階を促されたがカウンターを択んだ。
小さいグラスの生を飲みつつ、
バー限定のつまみリストに見入る。
通したのはトリュフとマッシュルームのクロスティーニ。
パンにトマトを乗せたのがブルスケッタで
トマト以外の場合はクロスティーニと呼ばれることが多い。

ところが意に反して売切れ。
それではとフリッタータに切り替える。
トルティーヤがスパニッシュ・オムレツならば、
フリッタータはイタリアン・オムレツ。
前者のじゃが芋主体に対して
後者はいろいろな野菜がふんだん。
当店ではズッキーニ・オニオン・トマトが入り、
これだけでイタリア国旗、トリコローレを描いていた。

ビールの次はカリモーチョ。
日本ではポピュラーではないがスペイン、
それもバスク地方では盛んに飲まれるミックスドリンクは
赤ワインをコーラで割っただけのシンプルなもの。
手間とコストのかかる、
サングリアの代替品として人口に膾炙した。

大き目のグラスに並々ながらアイスもドッサリ。
滅多に飲まないカリモーチョを久々に楽しむ。
コーラの代わりにジンジャーエールを使うとキティになる。
サンマリノを肌で感じることなくとも寛ぎの午後。
お次は何処へ参るとしようか―。

「リストランテ サンマリノ」
 東京都品川区上大崎2-13-18
 03-6277-0300